冠婚葬祭の森の冬魔女「アイシャ・シトラス」

Mimesis of Frautal

VR1104年生まれ 女性

アイシャ・シトラスは、冠婚葬祭の森と呼ばれるペルピーニャの丘陵地帯の巨大果樹園の総責任者である。自身は、春処女、夏淑女、秋熟女、冬魔女のうちの冬魔女として、シラ山脈の近くのゆず園を管理している。

そもそも、クセナルージュ以南、ペルピーニャの森の複雑な土壌体系は、東に時の波動の海を臨み、南にシラの山岳地帯を置く地形的な要因も大きいが、それ以上に、エロイーズの初代国王であるとされるパルム・サーズビリアへの神話上の信仰によって強く形作られている、と言える。

なぜなら、多項でも述べたとおり、パルムは、妻にあたるヴァージニアを亡くした失意から、ペルピーニャの森自体を(ミネアの大木を除き)焼き払ってしまった、からである。それからというもの、エロイーズに残された彼の信奉者たちは、妻の喪に森を捧げようとするパルムの行いに倣い、土壌改良の一環として周辺地域の野焼きを不定期に続ける(そのせいで様々な条件の土壌が同地域に混在する)ようになった、というわけなのだ。

この複雑に入り組んだ森と林と丘陵の特性を利用し、エロイーズの祭祀を再編成しようとしたのが、彼の国の前女王であるミキ・スラウトガーデンだった。彼女は、フロウタール各地から新たに畑に植え付けるための果物の苗木や種をあらゆる手段でペルピーニャに輸送させ、その地域一帯を巨大な果樹園に変貌させようと計画した。

いちご、りんご、スターフルーツ、レモン、びわ、メロン、ウメ、すもも、杏、ベリー、さくらんぼ、パッションフルーツ、すいか、桃、柿、なし、キウイ、みかん、ゆず……、本来なら収穫時期と栽培のしやすさに応じ、各地に畑の設けられているべき果物の数々が、ペルピーニャ一帯の迷路のような土壌特性を活用して、国営の果樹園の中に、VR1095年以降取り揃えられることとなるのは、上記のような理由による。

さらに加えて、先代女王だったミキは、華美の国の原罪の表現を司る王族として、ペルピーニャ一帯に外部から見ても余りに明白な或る区画化、を試みる。

その区画化とは、14~23歳の少女を「春の丘」と名付けられたいちご畑と林檎畑の広がるペルピーニャ北部の果樹園の管理に当たらせ、次に24歳~33歳の淑女を「夏の原」と名付けられたメロン畑、ウメやすもも、杏の木などの植えられた畑の管理者に任じ、三番目に34歳~43歳の熟女をベリーやさくらんぼ、パッションフルーツ、桃などの植えられた「秋の山」の責任者とし、最後に43歳~54歳の美魔女を、柿、なし、キウイ、みかん、ゆずなどの植えられたウロやノルジッドに面した「冬の谷」に全体の俯瞰役として配する。……つまりは、エロイーズ中から集められた婦女子たちが、それぞれの果物の収穫時期になぞらえられ、ペルピーニャ全体に混在させられる、という盛り付けのことである。

ただ、このミキ・スラウトガーデンによって行われた「逆擬人化」の試みは、結局の所、初めに述べたパルム・サーズビリアによる妻への鎮魂を儀式的に置き換えたものに過ぎない。なぜなら、ペルピーニャが冠婚葬祭の森と呼ばれる通り、成人、結婚、葬儀、法事を司るのにそれぞれふさわしい年齢の婦女子たちを地域の責任者に任ずることで、エロイーズの当是とされる時間神の神性の表現、を、段階的な時間の経過を通し代替したようにも捉えられるからである。

偶然、ペルピーニャを訪れた旅人は、その広大な森の全体に迷い込んだ角度に合わせ、クセナルージュの北側からであれば春処女、スルナの東側からであれば夏淑女、サールズの南側からであれば秋熟女、ノルジッドの西側からであれば冬魔女の歓待を受けることができる。そこには、各種のフルーツを使った料理やパフェが取り揃えられ、料金さえ払えば各年代ごとの通過儀礼を経た溌剌とした女性たちが、束の間の休息の給仕役となり、併設された山小屋に彩りを添えてくれる。

こうして、ペルピーニャ一帯は著名な観光地としての地位を確立したわけだが(後にディレリアとエロイーズの共同開発地帯となるラブネシアとレプリカントはこの区画化を模倣しようとしている)、唯一、冠婚葬祭の森全体の運営に懸念があるとすれば、それは治安面、ということになる。

本記事の紹介人物であるはずのアイシャ・シトラスは、この治安面の維持に直接関わっている。というのも、5千人以上の女性たちが働くペルピーニャの果樹園は、もしそのまま無防備に外気に晒したままにしていたとすると、強盗や暴徒たちの格好の餌食となってしまう可能性が高いからである。当然、ミキ・スラウトガーデンもその点は考慮していたようでもあり、対策として、クレイオ銃で武装したエロイーズ男子の警備兵を、果樹園全体に行き渡らせている。

その中でも、特に森全体の西側に面した「冬の谷」の管理を任されているアイシャ・シトラスは、ディレリアやイスからの旅行者の侵入も多いゆず園の場所柄、銃兵と常に連携をとって、一時的な滞在を許された旅行客たちに不審な点がないか、常に警戒を怠らないことを要求されているようなのである。

冠婚葬祭の森は、上記のような構造にパッケージングされて、異常なまでの平穏を保っている。既に40を過ぎたアイシャは、森の最西端に他の冬魔女たちといっしょに居を構えながら、ペルピーニャに住み込みで働いている「春処女」や「夏淑女」、「秋熟女」までをゆず湯に浸かりつつ見守っている、という塩梅なのである。

勿論、彼女たちが、春の丘から夏の原へ移り住む前に警備兵の一人と恋に落ちて森を離れるのもそれはそれでいいし、夏から秋にかけて女として熟しきってくる時期を敢えて独り身で過ごすのも良い。

……ただ一つ許されてはいけないのは、果実として実る過程で害虫に取り付かれたり、得体のしれぬ旅人などから無理やり接ぎ木されてしまうことだ。アイシャは、そうした事態が森に住む婦女子たちに起こらぬよう、周囲を常に監視し続ける。

ちなみに、アイシャ・シトラス自身は(他の多くの冬魔女と同様)未婚である。そして、彼女による歓待(と検視)を受けた旅人は、口を揃えてこう呟く。

「ああ、あんな女がこの歳まで熟し続けているなんて、本当に勿体ないよなあ……。」

1メートル63センチ、Dカップでかなりの痩せ方、黄色味の強いブロンドを前髪だけ非対称な長さに切りそろえ後ろ髪を伸ばしている、というのが、森の内部事情など全く知る由もない旅人一般が彼女に抱く、大まかな印象のようである。

一日の行動の優先順位

1 森の秩序を守る

2 滞在者の目録に目を通す

3 冬パフェ、の新メニューを考案する

4 谷の最奥での儀式に参加する

5 みかんを頬張る

6 ゆず湯に浸かる

SPECIAL
3865643
闘争華美飽食享楽不寛勤勉渇望
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空間時間
15
保持スキル栽培歓待警戒

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