Drakensangを日本語化しつつ、Windows10でerrorなく起動する:名作RPG再訪

CRPG関連

ドイツ産のTRPG『The Dark Eye』のルールを基盤とする『Drakensang』は、圧倒的なグラフィックの美しさを持つRPGとして、PCゲームファンにとっては忘れ難い作品ではないでしょうか。

なんて、知ったか振って書いておいて、いざWINDOWS10 になってから初めてSTEAMで起動してみようと思ったら、これ、全く以って起動しないですね。よく考えたらプレイすんの何年振りだ、って数えながら色々調べてみると、どうやらこれ、DirectX関連の不具合みたいですね。

で、同様の症状で悩んでいる方々が海外にいらっしゃいました。
Doesn’t start on windows 10 (←STEAM Communityのリンク)
おお、こんなにDrakensang 起動できなくて困っている奴らがいんのか、ってそのフォーラム見て嬉しくなったんですが、そこで立てられてる対策も完璧でしたね。
要は、
ウインドウモードでDirextXを起動すんだったら問題ないけど、(これだけだったらSTEAMの起動オプションで記載を追加すればいい)どうせならフルスクリーンでやりたいよね。そのための方法がこれだよ、っていうのが、フォーラムのスレッドの末尾に書いてあります。

まあそこに書いてあることを読んで頂ければ(かなり詳細に書いてありますので)全く問題ないんですが、要はマイクロソフトのデベロッパ用のキットを使って、Drakensang.exeの互換性モードでの起動をカスタムし、フルスクリーンモードでのエラーを無くす、っていうことらしいです。スレッドの最後の方の返信は、その紹介された手法への称賛と、adksetup、というデベロップメント・キットをインストールする際に、必要なものだけに限定すれば数MBで済むよ、という追記ですね。

実際の所、わたしもこの手法で無事、Windows10環境にてフルスクリーン表示できました。念の為、フォーラムにはない注記を幾つかここでしておきますと、

1 一度インストールしたWindows ADK 自体は、Drakensang.exeへの設定を追加した後は、アンインストール可能です。Drakensang.exeへの互換性モードの設定を付け足しただけですので。

2 上記、Drakensangに適用した方法は、続編であるDrakensang The River of Time にも適用可能です

ただし、その場合、STEAMライブラリ上で2という扱いながら実質フォルダ階層を同じくするDLCにあたるPhileasson’s Secretをインストール済みの場合は、そちらを起動するためのexeに当たる、Drakensanga1.exeの方も、上記と同様の方法でWindows ADK による起動オプションの設定をしてやる必要があります。

つまり、Drakensang、Drakensang The River of Time、Drakensang Phileasson’s Secretをすべて持っている場合、合計で三回、3つのexeに対して上記のフォーラムの操作をあてがわなければならない、というわけですね。

3 Windows ADK 起動中に一回行わなければならないTest run の段階では、まだ設定はインストールされておらず、結局フルスクリーン不可能な起動画面を見ることになります

→ここはちょっとややこしいんですが、まあまだ設定をインストールしていないけれども、元々のexe自体は問題なく起動できるんだよな、というツール側の確認のようなものと考えればいいかと思います。

以上です。

というより、本当に手順に関しては上記リンクのSteam Communityの方が詳しく書いて下さっていますから、それを読みつつ適用していけば全く問題ないかと思われます。また、インストールして操作しなければならないツールもマイクロソフト提供のものですので、特に使用に関して注意を払わなければならない懸念もないと思います。ただ、いずれにしろWindowsの設定上の操作を含みますから、その点は自己責任でお願いいたします。

………………………………
で、じゃあ実際に数年ぶりに起動したDrakensangどうなのよ、ってことなんですが、

やっぱり、とんでもなく美しいです……。

私的RPGランキングを作るために辿った俺の記憶は、必ずしも思い出補正ばかりじゃなかったんだ!(笑)。というわけで、さらに具体的にRPG自体の批評に移っていく前に、一つ追記すると、自分は数年前は英語環境のままで漠然とプレイしていたんですが、2018年現在の段階では、かえるさんが遊んだ ブログの管理者Enn様が、The River of Timeに関しては意訳版の日本語化ファイルを作って下さったみたいです。
ありがとうございます。
当然ながら、もしこれから遊んでみたいと思った方はそちらを参照してみて下さい。

また、1であるDrakensangに関しても、同じファイル置き場に機械翻訳+意訳ファイルも別の有志の方が挙げられておりますので、感謝しつつ適用してみるのもありでしょう。

と、話が前後した所で、元のDrakensang自体の評価に戻りますと、風景に関しては、(グラフィックではなくそれこそ風景と言いたいんですが)やっぱりこれ、掛け値なく美しいですね。RPG好きのおっさんが美しい美しいと連呼するのも気持ち悪がられるかもしれませんが、これ、光源処理と水質表現、DoF、パーティクルの浮遊感など、今現在、2018年のPCゲームのグラフィックレベルから見ても類を見ないほど美しいですよ。

画像をペタペタと何枚も貼っていった方が分かりやすいとは思いますが、、この点に関連して、わたしは一つ、RPGに係る論及を施したいと思っておりますので、少し回りくどく行かせて頂きます、すいません。

私は、一見してオープンワールド的で、三人称視点を保っているように見えるこのゲームを、敢えて二人称のアドベンチャーゲームとして捉えたいと思っているんですが、
(↓下図参照)

何故そう考えるかと言いますと、その最大の要因はこのゲームの視点の採り方にあります。結論から言うとこのゲーム、マウス操作がくるくると自キャラを中心に回る仕組みになっているんですね。

これは、かなり特異な状況と言えるでしょう。要は、他の、例えばSkyrimのようなゲームであればデバッグモード、もしくはカメラモードの場合に割り当てられる視点のとり方が、デフォルトのゲーム内操作において採用されている。

つまり、論旨を少し飛躍させて言うと、Drakensang というゲーム自体が常にカメラモードなわけです。普通のゲームであれば、スクリーンショットを取るためにああでもないこうでもないと検討する、自キャラを中心とした構図の決め方が、常にゲームプレイそのものの操作のうちに内在させられている。

ここで、一つ注意しておきたいのは、わたしは「自キャラ中心の」と何度も言及しているわけですが、このゲームは例えば前述したSkyrimのような、キャラクリ命、のゲームではありません。尤も、クリエイトできるキャラクタ自体は多少カワイくもあるんですが、そんなことどうでも良くなるほど風景がきれいです。ですから、わたしが何度も「自キャラ中心の」と言っているのは、自キャラ、もしくはパーティキャラクタが吸っている
「空気感」ですね。

本当に、鳥の声や川のせせらぎに代表される環境音も素晴らしいですし、森のなかに差し込んでくる光や、そこに飛び交っている綿毛や蝶々の描写などは、もう筆舌に尽くしがたいほどの透明感に溢れています。その中心が、自キャラの立っている「場所」であり、それこそ一部のノベル系のアドベンチャーゲームが「あなたは」と呼びかけるはずの主人公自身の所在なのです。

上記のような理由から、わたしはこの明らかにオープンワールド的で、三人称視点を持っているゲームを、二人称のゲームとして捉えたい、と考えております。で、そうしますと、自ずとこのTRPG的でありながら、Baldur’s Gateのようにアイソメトリックな構成を敢えて採用せず、何故かオープンワールド的な外形を持っていることから、一方でNWNやDragon Ageと比較されるべきDrakensang、というゲーム自体の持っている限界が見えてくると思います。

この点については、同時期に出たカナダのBioware社製作の『Dragon Age Origins』と比較すると非常に分かりやすいと思います。『Dragon Age』に於いては、ツーハンデッドソードの当たり判定や、高所からの矢の軌道、ファイアーボールの衝撃判定など、立体的な空間に特有の処理がある程度採用されていますが、こちらの、Drakensangにおいては、そう云った「オープンワールド的である」、ことによって生じる戦略的な面白みが、殆どと言っていいほど排除されているんですね。

他方、TRPGの本来の特徴であるクエストの解法の多彩さ、という意味に於いては、Drakensang は他ゲーに類を見ないほどのヴァリエーションを伴っていて、その自由度はスキルとステータスを含めた成長システムに同じ”冒険ポイント”を充てがわなければならない(The Dark Eyeのルールを基盤とした)圧倒的なシステムの自由度によって保たれています。

上記、ステータス画面を参照して頂きたいのですが、実際の所、「ドワーフの鼻」といったスキルや、「冗談を言う」、「サバイバル」といった種々のスキルが、各パーティーキャラクタに割り当てられたことによってゲーム上のどこで恩恵を受けたのか具体的には判別できなかったりもします。ただ、それにしても、細分化された要素によって、もしかしたらあの時にあのスキルをもう少し上げておけばまた違う展開が待っていたのかもしれない、と、プレイヤーは常に錯覚し続けることが可能なわけです。

しかし、こうした細やかなTRPG的な配慮と、片やDragon Age Origins や2のようにガンビットシステムをも搭載したダイナミックな戦闘システム、及びシネマティックな演出を施された「映画的」なゲームの、どちらが持て囃されるかと云えば、それは間違いなく後者なわけです。その点については、PCgameをリリースしなくなったRadon Labsと、ひとまずゲームとしての評価は別として大作、を作り続けているBioware、のその後の経過を見れば一目瞭然でしょう。

ちょっと回りくどくなってきたんで話を元に戻しますと、結局の所、このDrakensangというゲームは、オープンワールド的で、シネマティックなゲームに「成り損ねた」ゲームだということです。

勿論、上にも書きましたようにDragon Ageがナンバリングタイトルを重ねるごとにBioware社自体が本来持っていた「TRPGらしさ」を失っていくのもまた事実ではあると思いますし、少なくとも、このDrakensang、というゲームはリリースされた2008年時点では、(オンラインゲームに移ったその後の動向は知りませんが)オープンワールド的になったことで返ってプレイヤビリティが損なわれているとしても、ひとまずBaldur’s GateやIcewind Daleに近い硬派なTRPGたろうとしていた、とも言えると思います。

しかし、不思議なのは、その過程でそもそもアイソメトリック系のゲームにしておけば「節約」出来ていた部分を、何故か存分に使って、プレイヤーキャラクタが歩き回る風景を中心に、あらゆる角度から切り取ることが可能な、TRPGを模したゲームであれば本来目指すべきプレイヤー側の想像力の解放、を可能とする、ありふれた家屋ですら牧歌的で美しいゲームが出来上がってしまった、(後で調べたら、Nebula DeviceというRadon Labsオリジナルのゲームエンジンを使っているらしいですね)ということです。

いや、この風景の構成の巧みさ、そこから感じ取れる世界観の広がり、という点さえなければ、単純に、何かどこかのメーカーが背伸びして作ったDragon Ageまがいのゲーム、という評価で終わっていたと思います。(実際に、海外の主だった批評サイトなどではそうした判定なのでしょう)

しかしながら、さらにフォローすると、はっきり言って、常に朝焼けか夕景に時刻の固定されているDrakensangの風景群は、今現在存在するPCgameの中でも、群を抜いて美しい、と私個人は思っています。

その理由は、上に幾度も繰り返し書いておりますように、どこか彼方、のオープンワールドへ向かって視線を移動させ、延々と新しい場所を消費していく視点のとり方ではなく、何度でも、その場所に佇んで、自分の周りの風景の美しさを確かめ直すような、ぐるぐる回るマウス操作そのものがカメラモードになっている、というゲームシステムの特異さによるもの、でもあるでしょう。

端的にいうと、ゲームそのものが絵画的だ、ということです。この描き手のセンス、というのは、いくら解像度を高めようと、HDRなどのグラフィックス効果を付け足そうと、どうにもならない。

建物の一つ一つが可愛らしいし、村外れの牧場や町並みのふとした場所にいる豚や猫がいちいち愛らしい態度ですり寄ってくる。いや、ホント、ここまで来ると他の北米系のゲームと、RISENやDrakensang、King’s bountyに代表されるドイツ産、ロシア産のゲームのグラフィックの美しさの相違の中に、たとえば絵画的な描画の手法、テクスチャそのものを限られた解像度の中に落とし込むための、フォトリアルとはまた別の絵画芸術の歴史の深さの相違を認めざるを得なくなるほどです。まあ、そこまで行くとお前専門家でもないのに何様のつもりなんだ、という話になってくるとは思いますが……。

以上が、わたしのDrakensangに抱く雑感であります。右側の私的RPGランキングの中で、幾つかの某大作ゲームよりも上にあることで、「おい、マジかよ!」と思う方も居るかとは思いますが(笑)、私自身、勿論このゲームの持つ不備、操作のしにくさ、などを認識しつつ、それでもあのオープニング、DrakensangTRoTのゲーム開始冒頭の音楽や風景の中に身を晒したときの自由さ、これこれ、こういう世界の中に入り込みたかったんだよ、という感覚を何よりも重視して採点してみたつもりです。なんとなく、JRPGが一番輝いていた頃の作品群が、そのままオープンワールドになった感じがするんですよね、まあ全て主観ですが。

というわけで、今やSTEAMセールなど利用すれば1000円未満で手に入れられるこのDrakensang、を、特にRPG中の風景の広がりに興味のある方には強くお薦めする次第です。

あと、ネタバレでも何でもなく、DrakensangTRoTの方が後に発売されたわけですが、時系列的にはDrakensang1の方が後に起こった事件であり(TRoTは、1の登場キャラクタの回想、という語りの形式を冒頭に取る)また日本語化意訳ファイルを訳者様が整えて下さっていることも含め、これからプレイされる方はまずはTRoTのプレイを推奨致します。もしそこで気に入れば、話しの上での「続編」に当たる1をプレイしてみても良いのではないかと。(ちなみにPhileasson’s SecretはTRoTの完全なおまけコンテンツ、ボリュームのあるDLC、と云った感じです)

……かなり冗長になりましたが、私からは以上であります。
では。

コメント

  1. 杉山 より:

    STEAMで購入しまして、日本語化、フルスクリーン化と参考にさせて頂きました。
    そちらは問題ないようなのですが、
    新規にGAMEを始めようとすると
    Failed to load 2D texture
    reason:E_OUTOFMEMORY
    と表示されます。
    Win10で16G GTX1070で使用しております。
    何が問題なのでしょうか?

    教えて頂ければ幸いです。

    • tanemoto_endou より:

      杉山さん、コメントありがとうございます。
      上記の件、ご報告を受けて、
      Failed to load 2D texture
      reason:E_OUTOFMEMORY
      でググってみたのですが、
      その際に一番上に表示される World of Players というフォーラム内の記載を見る限り、
      どうやらDirect X 関連の問題ではないかと思われます。
      ランタイムをインストールして解決した、とそこでは報告されていますので。
      そこで一つ確認なのですが、
      STEAMでゲーム(Drakensang)を初回起動する際に、
      管理者権限を要求するWindows側からの警告が出ると思うのですが、
      それを「いいえ」にして拒否してませんか?
      いや、誤解だったら申し訳ないのですが、そのSTEAM Clientの要求は、
      DirectXなどのランタイムをインストールするためのものでして、
      それを拒否してしまうと、必要なランタイムがインストールされない、という結果になってしまうのです。
      当方ではDrakensangについてご報告して頂いた表示がされていないことも考え合わせると、
      どうやら上に述べた可能性が高いのではないか、と思い、この返信を書いております。
      自分もWIN10環境のNvidia、メモリも同程度ですので、ハードウェアが原因の可能性は低いと思われます。
      できれば一度、上記のことを確認して頂ければ、と思います。

  2. 杉山 より:

    ご丁寧に教えて頂きましてありがとうございます。
    「STEAMでゲーム(Drakensang)を初回起動する際に、
    管理者権限を要求するWindows側からの警告が出る」
    ↑こちらは私の環境では出ませんでした。

    ランタイムをインストールしても変わらず、
    高解像テクスチャのチェックを外した所、プレイできるようになりました。

    その後2時間ほど問題なく遊べたのですが、
    突然同じエラーが出てクラッシュしてしまいました。

    なかなか古いゲームは難しいですね。

    • tanemoto_endou より:

      うーむ、左様ですか。お力になれず申し訳ないです。
      高解像度テクスチャの件は海外フォーラムでも
      杉山様と同様に一時的にはプレイできるようになり、
      途中でクラッシュする、という事例も報告されているようですが、
      何にしてもプレイする皆様ごとの環境依存の問題でもあり、
      難しいところですね。
      上記の管理者権限云々の話は、自分はRISEN3の初回起動時に
      それを拒否していて問題になったことがあり、
      Drakensangでも結構多めにランタイムをインストールさせられたことと
      混同して解釈してしまったかも知れないです。すみません。
      もし、解決策など分かりましたら、ご報告頂ければと思います。では。