VR1120年生まれ 両性具有者、色相の転換者
イスマエリ・アマトは、裁かれざる罪の一覧証書、の考案者、作成者、未来における実行者として、一部の市民にはその名を深く知られている。
来歴
末梢の抹消の唯一の推進者、天使の影を持つ男、など、彼に付された異名はあまりに多いが、ここでは彼(戸籍登録上の性別)の簡単な来歴を述べるのに留めたいと思う。
彼は初め、他のイス帝国内の色相の転換者の例に漏れず、グランドセルブスの収容施設に入れられ、一通りの訓練を受けた、と伝えられている。
だが、VR1137年の監獄破壊事件に伴い、彼も他の幾人かの脱走者とともに、帝国内の特殊部隊として使役される、という運命からは逃れ果せたようだ。
その後、彼が一躍名を馳せたのは、上でも軽く触れた末梢の抹消財団「ペリファレル・ディレイター」の一員として、フラウド・マッソンとその家族の抹消に関わった時である。
イスマエリ・アマトという名も、彼が色相の転換者であるということも、その時に末梢の抹消財団自らが公表した「自演の」情報である。とは言え、彼と他の数名の仲間が、極端な寡数でマッソンの子息を抹消して回ったのは確かなので、その来歴の公表は一定程度事実に近い、と思われる。
この「ペリファレル・ディレイター」によるマッソンの子息の探索自体は、今でも続いている案件であり、財団への寄付も後を絶たないが、一方で、もしこの抹消自体が一通り収束したとしても、財団が解散せず、そのまま永続的に活動を続けていきそうな正当な理由が、完全に後付で公表されてもいる、それが「裁かれざる罪の一覧証書」なのである。
端的に言って、この「証書」は、特にイス帝国内の新たな法廷、新たな公判所の樹立、を目指していっていると言っていい(この点は、特に起草者のアマトが彼の国の出身であったことの影響が大きいと思われる)。とは言え、その内容はイス帝国内の腐敗した監査委員による採決の糾弾にとどまらず、前述した末梢の抹消財団にとっての本来の標的であるマッソンの子息や、エロイーズからディレリア、スレッドに至るまでの貴族や資産家の類が、犯した罪の大きさに係わらず、不必要な酌量の余地を得てのうのうと暮らしている棚上げになった「罪」を、無理やり被せられた不幸な平民たちに取って代わり、罪を犯した当人たちの前に再度突きつけようとするものでもある。
故に、この証書の末尾には、新たな頁として常に民衆から末梢の抹消財団に告訴された罪を免れた犯罪者の名前が、抹消を待ち侘びる形で付け足され続けてもいる。そして、その実際の遂行を果たすのが、イスマエリ・アマト以下の数名から十数名に過ぎない色相の転換者の武装集団である、というわけだ。
その後、彼ら「ペリファレル・ディレイター」が引き起こした事件の数々や、如何にしてミラジ教徒やレフトフォール・チャーチを敵視し、であるが故にイスの反体制レジスタンスとの関係を疑われることになるかなどの細かい経緯は、あまりに話が込み入ってくるのでまた別項に譲りたいと思う。ただ、超常的な戦闘能力を持つことから付け足された「天使の影を持つ男」「皆殺しの天使」というアマト自身の二つ名に予め触れておくと、どうやら彼は、フロウタール国内のアーティファクトの一つである「シールド・オブ・ヴァリナ」の所持者なのではないかと噂されている。
一度解き放たれると、その場にいる全ての人間を混乱させてしまう、という伝説上の神器の能力が仮に確かならば、彼が寡数で敵を滅ぼしてしまうことも、至極妥当な事実として歴史上に立ち現れ続けることになるのかも知れない。他方で、彼と対峙しかけた幾人かの逃走者の証言によると、他の一般的な色相の転換者と同様に、彼が類稀な戦闘能力を持っていること自体も、疑いようのない現実のようではある。
日々の行動と能力
1 証書に新たな名を付け加える
2 体を鍛錬する
3 男性と女性の間を行き来する
4 ヴァリナに封ぜられた声に耳を澄ませる
5 部下に指示を出す
6 皇帝の暗殺を企てる
S | P | E | C | I | A | L |
7 | 6 | 4 | 8 | 9 | 4 | 9 |
闘争 | 華美 | 飽食 | 享楽 | 不寛 | 勤勉 | 渇望 |
1 | 2 | 2 | 1 | |||
空間 | 時間 | |||||
2 | 4 | |||||
保持スキル | 演奏 | 槍術 | 暗殺 | 扇動 | 体術 |
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