あまりにも普通のプレイと雑感で申し訳ないのですが、中~終盤にかけての主要コンテンツとなる古代の科学書と工学研究書の探し方について解説します。いや、全然見つかんないな~、って方も多いかとは思いますが、ランダムとかではないので、その辺の事情の確認記事です。
1 具体的な場所
結論から言いますと、これ、世界中に散らばっています。で、別記事でも書いたんですが、具体的な場所などについてはググらない方がいいと思います。この、なんか見つかんないものを、自力で探し出す過程こそがKenshiの醍醐味だと思いますので。そんな事お前に言われなくてもわかってるよ、っていう話でしょうけどね。
ただ、私自身雑なプレイで最初気づいてなかったんですが、鍵のかかったチェストね、これを見落としてしまうことが多い。遺跡とか、塔とか、この古代の本にかかわらず、重要なアイテムが収納されていることが多いので、地面に散らばっているアイテムだけを確認して探索終わり、にしないことを強くお薦め致します。ま、この辺のことも言わずもがなでしょうが。
というより、むしろ特筆すべきなのは、この古代の本の見つかりにくさこそが、ある意味でのKenshiのゲームデザインの特徴であるとも言える。
要は、これも繰り返しになりますが、
「ここに行けばこれがあるよ」とか、
「次に行くべき場所はここだよ」
っていう不必要なガイダンスが一切ない、ってことですよね。
プレイヤーは(特に序盤は)、「おいおい、このゲーム本当に細部まで作り込んであるのかよ」っていう懐疑を伴いながらのプレイになることでしょう。しかしながら、これが中・終盤に差し掛かってくるに当たり、徐々に、「あ、このゲームは、意図してこの作りにしてあるんだ」と気付くことになる。その最後の「懐疑」が挟まってくる余地が、この古代の本の場所、ということになるんでしょうが、安心してください(汗)、KenshiのMAP上を丹念に探せば、必要な分だけ十分に見つかるはずです。
一方で、私のプレイした限りに於いては、アイテムの配置にほとんどランダム性はないですね。皆無と言っていいかもしれない。というか、このゲームにあるサンドボックス感というのは、
「生成」のランダムさによっているのではなく、
「表現」の偶然性によっている、
と断言してしまっていいかもしれません。つまり、ローグライクのような感覚は、実際には限りなく薄いと言っていい。
この点を私はかなり勘違いしていました。NPCの名前などを見る限り、それこそMAPなども含め、全部ランダム生成された世界の中で何をするか、というゲームなのかと思っていましたが、むしろ逆で、緻密なMAP構成に基づいた、各勢力の諸関係の適切に張り巡らされた展開を伴っている。古代の本は、そのMAP全体の配置を把握するための、探索に対する導線のような役割を担う、というわけです。
2 MAPの構成の分析
で、そのMAP全体の配置について言及しますと、
ホント、めちゃめちゃ広いですね。
この広さ、の感覚は、まあ単に広大だ、という意味もあるんですが、それ以上に人間の卑小さ、を味わわせられる、という点にも原因があるかもしれない、
ひとまず幾枚か画像を貼ってみましたが、公式のプロフィールを見る限り、グラフィッカーの方が宇宙や地質学に興味のある方のようで、Kenshiの世界観というのはまさにそれ、下手なSF設定物や宇宙モノよりも、鉱物資源としての星の生態や、大宇宙の広大さを感じることができます。
これらの光景は、一言で言って素晴らしい、ですよね。こういうヴィジュアルイメージをMAPとして定着した時点で、神ゲーとしての必要条件を明確に一つクリアしているとも言える。また、他方で申し上げたいのは、このMAP内エリアの「接合のされ方」の特徴ですね。
これも「広さ」を演出するのに一役買っている要素と思われますが、エリア同士が「段階的に」は繋がれていません。砂漠や山岳地帯、赤い雨の降る湿原や、瑞々しい渓流、そういったものが、細かに区分けされた中で、唐突に現れる。
だから、プレイヤーの側は、特にMAPの配置を確定させていない序盤は、心休まる暇がないことになります(笑)おい、なんでこんなエリアにいきなり迷い込んじまったんだよ、ということが、よく起こりうる。しかしながら、この辺のバランスも、緻密に意図されたことなんだと、プレイを進めていくごとに分かってくるようになってるんですよね。
Kenshiの世界にファストトラベルなど存在しないし、「辿り着く順番」とかもないですからね。ここいったから次はここ、それ終わったらここ、という風に、都合良く出来ていない。これによって何が起こるかと言うと、プレイヤー側の意図と目的に応じて、世界の複数のエリアが複雑に絡み合う、という事態です。
3 レベルドリストと偶然性
で、話をMAP構成からゲームデザインの側に戻しますと、これはELEXの記事のときにも書いたんですが、重要な要素として、レベルドリストの存在、がありますね。固定NPCごとの力量差による世界観の構築、この点に偶然性の入り込む要素は一切ないわけです。
ですんで、公式のHPにある、SRPGという表現は、若干誤解を生む可能性があると思います。ストラテジーRPGというと、エディット可能なキャンペーンを攻略するような、ランダムな配置を楽しもうとする所があるじゃないですか。
このゲームをプレイ済みの方には既にお分かりのように、Kenshiはある意味で真逆っちゃ真逆のゲームですよね。私はそこを始め勘違いしていて、シヴィライゼーションとか、ステラリスとか、なんかそういうゲームみたいに資源集めするもんだと思っていた。ですが、その予想はいい意味で裏切られました。
どこにでも行けて、なんでも出来て、その配列パターンが毎回違うゲーム、ではこのゲームはないのです。むしろ、どこにでも行けるが、なんでも可能だが、プレイヤー側の無謀な振る舞いは、全て失敗に終わるゲーム、それがこのKenshiというゲームです。だから、ヨーイドン、で敵プレイヤーやCPUと効率性を競い合うRTSのようなものとも違う。むしろ、このMAP配置、強固なレベルドリストから見えてくる自由度は、RISENやGothic のような、Pyranha Byte の作るゲーム構成に近いでしょう。
つまり、そこには、あらゆる初期プレイヤーが試みる挑戦を、無残にも跳ね返すだけの強大な勢力が存在している。そして、それらの勢力を出し抜くためには、以後数十時間、数百時間ほどのプレイが必要になる。しかし一方で、彼らに挑むことは常に拒まれていないし、極端なレベル差を踏まえた上での、サンドボックスが故の裏技のような挑戦も許容されている。ここにKenshiというゲームの醍醐味があると言えます。
(↓ 以下の内容には、世界探索上の軽いネタバレも含まれますので、一通りプレイし終えたか、その点を許容される方のみお進み下さい)
4 勢力クエストとエンドコンテンツ
というわけで、私は初めこのゲームを、
elona やMount&Blade に近い、と書いたんですが、

まあ正しいと云えば正しいし、間違ってるっちゃ間違ってましたね。特に、一般的なプレイスタイルでの中~終盤に差し掛かる辺り、上述したRISEN やBaldur’s Gateのような感覚を味わうことになる。
この二つのゲームとの類比について、初めにBaldur’s Gateの方に言及しますと、パーティーメンバーの装備と消耗度を確かめて、少しづつダンジョンを踏破していく感じね。そこの、戦闘の戦略性はあまりないかとも思ってたんですが、意外にも、武器種別に応じた敵との相性や、特にクロスボウも含めた距離のとり方には、結構D&D系 とは言わないまでも、工夫のし甲斐があると感じました。
そして、相手側のキャラが徘徊していない場所を見つけて、四肢に受けた損傷ダメージをキャンプベッドで回復していく。この繰り返しが、緊迫感があっていいんですよね。特にアッシュランドなどの、南東エリアを攻略する際にこの印象は顕著でしょう。
他方で、そうして各地を転々とした探索の果てに、思いがけず訪れる、勢力クエストへの突入がある。この点は本当に驚きでしたね。いや、このゲームどんだけ奥が深いんだよ、と。サンドボックスであることと拠点防衛の仕組みを巧みに使って、諸勢力間の争いが起ころうとは、まさか予想していませんでした。(まだ見ていない方は、ご自分で確かめた方がよろしいでしょう)
どこの勢力と組みするか、によって、各プレイヤーによって全く展開も様々とは思われますが、この勢力間の争いをどう引き起こすか、という点こそが、Kenshiのゲーム内世界にとっては一般的なエンドコンテンツ、になってくるんでしょう。
勿論、その過程で、「誘拐」というコマンドの重要性、楽しみ方もプレイヤーは既に知っているわけです。わたしはひとまず、グレートホワイトゴリロだけは捕獲しておいたんですが、
同様に世界中から特殊な生物だけを集めて動物園を作ってもいいし、まあ何を目指すかなんてこのゲームのプレイヤーに申し上げるのも野暮というものでしょう。ただ、一つだけ言えるのは、そうしたゲーム内での遊び方の幅を受け入れるための、大枠のMAPデザインとレベルデザインが素晴らしい、ということです。
なんつーか、たとえが良いか分かりませんが、ホームランゾーンと弱点が隣接してる感じね。ものすごい辛いエリアと、心休まるエリア、そしてそれらを踏破した時の報酬のバランスが、絶妙にマッチしている。プレイヤー側の正当な挑戦にはそれに値する報酬が与えられるし、一方で、他のゲームで許容されているような単純な「稼ぎ」は、ほとんどの場合機能しない。
まさに上記画像のように、「弱者と戦って得るものは何もない」というわけです。本当に、このKenshi、というゲームの中には、そうした一貫した哲学が漂い続けているんでしょう。
5 まとめ
というわけで、最後にこのゲームを作り上げたLo-Fi Gamesに深い敬意を捧げます。アリスソフトが一つの区切りを迎え、Bethesdaが世界中の失望を誘った2018年の最後に、elona に匹敵するような神ゲーに出会えたことに感謝しております。
と言っても、私自身、まだまだプレイを終えた段階ではないですし、他に書き足りないこともあるんで、今後も何個か、プレイする皆様の楽しみを奪わないよう配慮した上で、記事を書いてみたいな、とも思っております。
その辺りについても蛇足ですが軽く触れておきますと、やっぱりあとはこの神ゲーを往年の名作RPGに対してどのように位置づけるか、という相対評価の方になってきますよね。Mount&Blade何かとも同様に、やっぱりいいゲームっていうのはプレイする段階ごとに印象が変わってくる、というか、ゲームの細部に既存の名作に対するリスペクトが込められているようにも感じられる、とも思う所です。
何にしても、その辺りを書き出すとまたキリがないんで、一旦この記事は〆させていただきます。とにかく、未プレイの方でこれを読んでいる方がもしいらっしゃったら、是非プレイしてほしい代物であります。というわけで、シンプルに感謝を述べて終えます。
神ゲーよ、心の底から、ありがとう。
では。
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