支離滅裂の神に遭遇した宗教家「ハルベルト・ムハラタール三世」

Mimesis of Frautal

VR1097年生まれ 男性

ハルベルト・ムハラタールは、VR1149年のレブノ島の調査のときに、支離滅裂の神に遭遇し、ザン教での身分を剥奪された男性である。

現状の彼のことを仮に宗教家、としているが、元々、ムハラタール三世はザン教の最高諮問機関であるアルザイン・サークルの一員であり、十二人居る投者(投げかける者、の意)の筆頭であった。

さらに付け加えて言うと、そもそも支離滅裂の神、とは、スレッドのレト地方、ベルゼンの信徒であるカノン牧師が、著書「不完全均衡論」の中で提唱した、空間の神と時間の神の知性のせめぎ合いの果てに訪れる終末状態の直前の世界情勢のことを言う。

その具体的な著述内容の中から支離滅裂の神、について述べられた点をかい摘んで言うと、

「人間のコミュニケーション、交換に用いられる言語、論理の組み立ては、事前に契約として、事後に法として社会構造の中で構成される限り、権力組織が長時間に渡って維持され、集約的な権威が個人の自由を損ねる段になると、根本的に破綻してしまい、初めに人類が打ち立てた契約自体、その論理的構成自体を自己否定する結果に陥る」、という一見してかなりニヒリスティックな内容になっている。

さらに、ひとまずこのカノン牧師の提唱した世界の均衡の趨勢、への理解を前提すると、

「支離滅裂の神へのある種の信仰のようなものが世界全土に行き渡ったとき、フロウタールの世界で「ヴィジョン・クライシス」と呼ばれる終末が訪れる。そこでザン教は、この視界の危機、を乗り切るために、教祖であるソーシア・ノウの死後から蓄積されたあらゆる知識を活用し、必要な措置を講じる、ことこそが期待されるべきだ」、という、目的論的な宗教観が構成されることにもなるだろう。

このカノン牧師の提唱した理論は(勿論、ザン教内の一部の派閥からの猛烈な反対と否定に会いながらも)、それらの反対派にとっては意外なことに、異端とされるどころか積極的に受容され、いくつかの組織内計画に結びついていく。その過程で、アルザイン・サークルの中の投者のうちで、最も重要な役割を与えられたのが他ならぬ、ハルベルト・ムハラタール三世、というわけだった。

この時、来たるべきヴィジョン・クライシスへの対応、を任されたのが彼だったというのは無理からぬ話で、というのも、ムハラタールの家系は、ザン教の始祖であるソーシア・ノウが危機を経て一人荒野に佇んでいる時、真っ先にフロウタール圏域の外部から駆け寄り、教えを請い、弟子になった、という、謂わば危機以後の歴史を誰よりもよく知ると目される血族だったからである。

ただ、問題は、彼が支離滅裂の神の浸透への対処、を思考したばかりではなく、実際に、支離滅裂の神そのものに「遭遇してしまった」と語った点であった。

前述したVR1149年のレブノ島での爆発事件の調査の時、ザン教の危機対策委員長であるムハラタール三世は、当然のことながら、調査チームを引き連れて先頭に立って、島の内部や洞窟内を隈なく調べ回ったのだ、と彼と行動をともにした委員の一人は語っている。だが、その調査の果てに、ハルベルト・ムハラタールはあるものを「見た」。

実際に、そこで彼が何を見たのかは定かではない。むしろ、そこで「遭遇した」として彼によって語られた支離滅裂の神の実体が、どのようなものだったのか、知りうるものが居るとしたら彼と同様に拘束されるか、暗黙のうちに抹消されてしまっているだろう。少なくとも唯一その事実について述べたムハラタール三世は、現在ではアルザイン・サークルを追放されてイスのヘルクラウドのサナトリウムに収容されている。

既に彼は発狂している、とか、いや彼は極めてまともで、ザン教にとっての何らかの不都合な真実、を知ってしまったがゆえに幽閉されているに過ぎない、とか、元々の彼の立場からの凋落を物語って、いくつもの噂がまといついている。が、上述したように、どれも真偽の確証は施しようがないはずだろう。

なお、他方でムハラタールの血族自体は、彼の娘であるグリシャ・ムハラタールによって維持され、ザン教内の地位も一定程度保証されているようである。

一日の行動の優先順位

1 支離滅裂の神について考える

2 娘の身を案じる

3 牢獄の壁の冷たさを感じる

4 自分は正気である、と自身に言い聞かせる

5 振動書を復読する

6 来訪者を待つ

SPECIAL
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114
空間時間
15
保持スキル伝承祈り瞑想

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