閃きを求めて意図的に脳を傷つけようとした科学者「ノーブル・ウィックス」

Mimesis of Frautal

VR1108年生まれ  男性

ノーブル・ウィックスは、スレッドのチェシン出身の男性である。幼い頃にシジルイッツァ博物館で見た恐竜の化石に衝撃を受け、将来、ヌーメナル実験場での発掘、解析作業に当たる分析チームの一員になることを志す。

ただ、彼の夢は早々に挫折してしまった。遠くイスやエロイーズとの県境にあるアムスの大学の試験に、ノーブル・ウィックスは七年連続で落第し、他の一般の学部になら合格したかも知れないのだが、特に地質学、科学解析の専門科には、どうしても合格できなかったようなのである。

これにウィックスは深く落胆した。と同時に、彼の中に逆説的な選別感のようなものが芽生え、自分には大学で学業を積み上げる他のなにか別の役割が存在するに違いない、と考え直し、両親の住むチェシンの寒村に引き返した後は、独学で科学を学び始めたという。

その過程で、ウィックスが興味を持ったのは、先人たちが積み上げてきた理論や方法を元に、それらを深く掘り下げ、さらに自身の経験と混ぜ合わせることで新たな「発見」や「発明」を探る、という科学にとって極めて正当な方法論ではなく、むしろその逆で、フロウタールの世界内において「固定アーティファクト」と呼ばれる、超常的な力能を含むと噂される伝説上の工芸品の一種の伝承であった。

フロウタールの圏内には、イスに集められた色相の転換者の集団や、ディレリアの商用ヴィジョン、エロイーズの光触媒による錬金術、スレッドのアブストラクト・メイルなど、大学で学べる範囲での科学からは逸脱した「超常現象」としか呼べないものが多く存在する。ウィックスはそれらの実物に触れ、実際の運用方法に近づくことで、かつで自分を排斥した大学の知識を凌駕できるのではないかと考えたわけだ。

VR1145年5月10日(この日付はテネスにおける無差別テロ事件と全く同時である)、ウィックスは上に述べた自身の野心を実現するために、遠く、フロウタールの西端であるマハ・イルの村落にまで足を運んでいる。そして、そこにいたフィンガー・オブ・デスの一人の青年を説き伏せ、「アーティファクト」の一つである死の指の実践を披露してもらうことに成功する。

ここで起きた事件についての詳細は、事実が余りに入り組んでいるため、別項に譲りたいと思う。ただ、結論から言うと、ノーブル・ウィックスが試みようとしたアーティファクトの解析は、見事に失敗した。彼は、死の指による爆破の実践を見せてもらい、それを解析しようとしたばかりか、その現場、で生じた衝撃波によって(当時、その爆風に脳を揺すられて、数学や音楽の才能が開花した被害者が散在した)、自身にもなにか超常的な能力が芽生えることすら期待していたらしいが、テネスでの事件の道筋をたどる限り、意図した試みなどはすべて実際の風景と同じように破砕されてしまった。それどころか、目の前に繰り広げられた光景が余りに衝撃的であったため、ウィックスは脳よりもむしろ精神を病んでしまったようなのである。

この、哀れで愚かな男の運命に対する語りはこの辺りまでにしておきたいのだが、他方で、このノーブル・ウィックスが一部の人間にとって著名なのには、もう一つ理由がある。それは彼が、「ラッキー・スマイル」(死の指によって殺される人間が死ぬ直前に見る微笑み)を見たのではないかと噂されている為、である。つまり、ノーブル・ウィックスは事物を解析する能力を持つ著名な科学者になる代わりに、分析を施されるべき対象それ自体、に意図せずなってしまったわけだ。

一日の行動の優先順位

1 科学を学ぶ

2 閃きを待つ

3 アーティファクトについて書かれた文献を読む

4 発明品を考案してみる

5 両親と同じ農場で働く

6 貧困にため息をつく

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