スレッドサッカー協会のチェアマン「キーラン・オブライエン」

VR１０９２年生まれ　男性

キーラン・オブライエンは、スレッドにサッカーを伝えた人物、各地のホームタウンチームを統合し、VR１１２０年に二部制のリーグを成立させたことで知られる。

来歴

スレッドにサッカーが伝わったのは、VR１１１６年頃と言われており、この、キーラン・オブライエンがハングヘッドアイランドに渡り、ルファックスにある鉄膣の戦いβの戦死者用の霊廟の拡張工事に携わったとき以来、とされる。

ここで、キーランは人夫たちが休憩中、とある遊びに興じていることに気付いた。それは、南にあるウラスクの原生林の木の幹から取れる樹脂を塗り固め、外側に球形の木枠による囲いを施してボールにし、足だけを使って相手の陣地の一定の領域にまで玉を運んだ回数を競う、といったもので、首吊り島ではごく一般的な遊びであるらしかった。

一定のルールに基づいて蹴り出されたボールが弧を描き、他の人夫たちの足元に収まった瞬間、あまりにも明確な啓示に襲われた、と後にキーランは述懐している。５対５でボールを蹴り合うありふれた遊びが、スレッドの闘争の原罪を表現するのに最もふさわしい競技なのだ、と気付かさせられたのだという。

さらに彼は、簡単な盛り土の上に腰掛けているだけだった他の休憩中の人夫たちの拍手や喝采の中に、戦死した兵士たちの霊魂までもが加わり、新たな戦闘訓練を見守っているような気すらした、とも述べているわけだが、この辺りの印象は完全にこじつけであろう、とも思われる。

というのも、このハングヘッドアイランドからのサッカーの伝来、が語られる際に考慮しなければならないのは、別項でも述べたとおり、アブストラクトメイルを使用した新たな戦術のための軍事訓練の試みであり、結果として、VR１１１４年のαヴァージョンの完成以来、試験的導入と改良を繰り返されてきた「帷子」の運用の初期訓練に最も適したスポーツ競技が、首吊り島で行われていたサッカーだった、ということになる。

だから、現実的な順序として、キーランがサッカーを見た後にそれをスレッドに伝えたのか、初めからスレッドの側が何らかの競技性を持つスポーツを探し回っていて、たまたま首吊り島でサッカーが発見されたのか、はそれほど重要な岐路ではない。むしろ、海を越えて、スレッドに伝えられてからは、パルスプラントのサガデュにある牛の革と膀胱を使用して作られるようになったというボールの構造の精度と、改めて整序され直した全体のルール設計が、まさにアブストラクトメイルの軍事訓練にぴったりと適合した、という事後的な親和性の方が注目されるべきなのだろう。

以上のような経緯を踏まえると、結局の所、キーランがスレッドのサッカーにおいて果たした役割というのは、今現在ある一部、二部構成のリーグの成立への尽力と、それを各都市に置いて調整した政治力の発揮、ということにもなる。VR１１２０年に成立し、以後VR１１５０年現在まで続くスレッドサッカー協会と軍事教練の発展の「歴史」については、各年に所属するホームチームを応援する立場のサポーターたちにとって見方は様々だろうし、考案された戦術、その派生の経緯なども各監督や選手たちの経歴を個別に参照したほうが早い、とも思われるので、ここでは現在各年に据えられたチームの一覧を一部と二部に分けて列挙するのに留めておく。