改めましてファックマンさん、Synctamさん、1からのフォント制作者の方々、日本語化MODの作成お疲れさまです。おかげで史上最高のRPGを存分に味わい尽くすことができました。
一方で、肝心のAvowedの方の内容はと言うと、まあこう言ったティザー映像の常套として、どういう感じになるのかさっぱり分かりませんな(笑)。いや、これはこれとしてめちゃくちゃ楽しみにしてますけれども。Never Winter Nightsみたいになる感じがしなくもない。……それはそれでいいのか。
ただ、Pillars of eternity2の日本語化が今年完了した段階で「Avowed」の発表となると、ファックマンさんとSynctamさんの共同作業による成果を待ってプレイし始めた多くの日本語化環境のファンにとっては、なんか立て続けにエオーラでの旅に出られるようで喜ばしい限り、ですよね。いずれにしても、まだそこを想像していても仕方がないので、当たり前といえば当たり前ですが、今回は史上最高のCRPG足るPillars of Eternity2のシステム面や物語、世界観、ストーリー分岐と自由度などについて、ざっくりと感じたことを述べていきたいと思います。
(基本、ストーリー上のネタバレとかは控えるつもりですが、ストーリーの一部などに全く触れないわけにも行かないので、これからPillars of Eternity2をまっさらな状態でやりたい方の閲覧は推奨しません。本記事は、1と2を既にクリアした方や、やるかどうか迷っていて、どんな内容かを俯瞰してみたい方に対してのものです)。
1 Pillars of Eternity1との相違
で、前置きばかりしていてもアレなんで一つシンプルな結論を言うと、今回の2と1との具体的な相違は、6人パーティーから5人パーティーになったことですよね。もう一つ、それに伴って、シングルクラスとマルチクラスという、D&D系のゲームに定番の設定も追加されている。
これら2つの設定の変更による前作との相違の前にもう一つだけ付言しておくと、難易度設定ね。ここは基本、「Pass of the damned」+エキスパートモードで自分はやってます。あともう一つ、今回の2はプレイヤーの好みによって敵キャラのレベルドリストそのものも変更できるんですが、ここもまあ基本は変更なしでいいと思います。
つーか後者の2つはともかく「Pass of the damned」、この最高難易度設定は、1からのゲームシステムに慣れた、もしくは挑戦的なゲームバランスを求める全てのCRPGファンにとっては非常に重要です。なんでかって言うと、ここの究極的な難度、ハードルの設定が、初めに指定した1からの変更点、5人パーティーへの削減とマルチクラスの導入という2つのシステム面の特徴を浮かび上がらせるからです。
ここら辺の感覚は、まあ実際やってる方は一発で分かると思いますが、もし未プレイの方にわかりやすく提示するとすると、CRPGまにあのSさんが1のときに施行されたソロプレイ、これが明快かつ緻密で分かりやすい。もっと言えば、そこに提示された幾つもの思考を、各プレイヤーが新たに深めることに駆られる、そんなゲーム体験が、Pillars of eternity2での「Pass of the damned」での全エリア完遂、であると言えます。
ここで全エリア完遂、っていうのは(特にネタバレにはならないと思うんで付け足すと)、今回、メインクエスト周りともサイドクエスト周りともDLCとも一切関係がない、それでいて超絶的な強さを持った裏ボスっぽいのがいるんですよね。だから、ストーリークリアよりも「全エリア完遂」、の方が百倍難しい、という若干変なことになっている。
かつ、そんだけの強さを誇っていながら、裏ボスと書きましたが別に超序盤からいつでも逢える。実際、何も知らずにそれらの裏ボスのいる領域に足を踏み入れると、ワケも分からず瞬殺されることになります。その辺の、なんか粋がってる中堅キャラが1ページでもみ消されるよくある少年漫画的な光景を自身のキャラの上で味わうためにも、レベルドリストは変更しない方がいい、という上記の前置きへの無限ループに繋がるわけです。
この点からの帰結は2つで、一つは、それらの裏ボスをどう倒せばいいか。もう一つは、シングルクラスとマルチクラスの組み合わせも含め、最高のキャラビルドとパーティ編成はどのようなものなのか(その辺の派生する内容については下記リンクにまとめました)。

勿論、これらの問いに対する解は一つではないし、各プレイヤーによってキャラの組み合わせや編成もそれぞれ違うとは思われますが、一つだけ言えるのは、この、ラストの裏ボス的存在に最高難易度で挑むことこそが、1から続くPillars of eternity、というゲームの戦闘システムの十全な理解につながる、ということです。
個人的には、いわゆるアイソメトリックな、見下ろし型視点でのCRPGの戦闘としては、今回のPillars of Eternity2、というゲームは最高傑作だと思ってるんで、もし未プレイの方や、別の難易度設定でのクリアを施行済みの方には、「Pass of the damned」で上記の幾体かのボスに挑んでみて頂ければ、と思います。そして、それらの試みが完了する過程で、場合によっては私の施行を記した上記リンクの記事も参照して頂ければ幸いです。
2 AIとターンベースモード
で、上ではまず初めに戦略的なRPGの到達点として、完成している部分について述べましたが、他方で、今回の2では、1から進化させようとして導入されつつ、いまいち活かしきれていない、もしくは既存のゲーム感覚から劣化してしまっているような要素も存在します。
それらの設定の代表的なものが、「戦闘時のAI設定」と「ターンベースモード」であると筆者は考えます。
まず、「戦闘時のAI設定」に関しては、高難易度になればなるほど、はっきり言ってほとんど機能しないと言っていい。というのは、このゲームのゲーム性は前述したように、煮詰めれば煮詰めるほど、難しければ難しくなるほど奥深く楽しめるものなので、何となくこのタイミングで、とか、何となくこの場所に、呪文を放つとかいう漠然とした加減では本当の意味での強敵と対峙できないのです。
逆に言うと、とりあえず現行のPillars of Eternity2のシステム内では、このAIによる自動戦闘のシステムは、1からするとかなり詳細に能力を発動する状況と優先順位などを指定できるようになったとはいえ、それでも全く細かさと厳密さが足りません。だから、基本的には「常に実行する」設定の所に、ファイターが発動するスタンスとか、チャンターが使うインヴォケーション、レンジャーが開幕で使うマークドプレイ、などの、要はある意味で常時使いのバフ的な能力を割り当てておく、くらいの運用になってしまうと思います。
実際の局面では、それらの基本的な行動をAIで予め設定しつつ、結局、さらに細かな挙動の求められる所は手動で行っていくことになる(勿論、レベル差でゴリ押しできる所は別だけどね)。特に、フレンドリーファイアもありつつクラウドコントロールのタイミングが重要なメイジの呪文などはAIに任せておくのはあまりに不安なので、たとえば固有のクエスト付き加入キャラでパーティーを組もうとする場合、全然好きでもないのにアロスばかりを戦闘中は動かしていなければならない、という1から引き続きの惨状にも繋がってしまいます。
……若干話が逸れましたが、むしろ私は、このAI戦闘の刷新、には、ゲームをプレイ当初かなり期待しておりました。っていうのは、自分は個人的にはDragon age1や2のいわゆるガンビット戦闘、あれこそが究極のパーティ戦闘だと思ってるんで、全てを適切に設定しさえすれば、極端に言えばプレイヤーが全く手を触れることなく、様々な状況に応じて勝手に最善の手段を選び取ってくれる、そう言った深みのある戦略そのものを、事前に各キャラのAI設定の中に組み込んでおけることを期待したのです。
ただ、実際に使ってみると、まあそうした完全自動化、はほぼ無理ですね。その理由として、一つには上述したようにこのゲームが強敵と戦おうとすればするほど範囲指定とタイミングの厳密さを求められる、ことも確かにあるのですが、それ以上に、なんかAI設定をする際の主語と繋辞があいまいで、単純にうまく設定できない、という残念な理由もある。
たとえば、仲間の状態異常を直したいとき、AIの設定としては状況説明の所に「対象が何らかの状態異常のとき」を選び、能力の発動先に「仲間」を指定し、対象へ状態異常を停止する何らかの能力を発動させようと考えると思うのですが、この場合、状況説明の所の「対象」が仲間であるか敵であるかを措定できないため、その対象が敵であれ味方であれ、戦場にいる誰かが状態異常になったときに、「仲間」に対して状態異常解除の能力を使ってしまう、という事態が起こりうる、と思うんですよね。
あとはもう一つ、致命的な点として、AI設定をオンにしていると、何故か理由はよく分からないんですが、ポーションをうまく飲んでくれない、というのもある。これは何となく挙動を観察していると、おそらくポーションを飲み終わるまでの能力発動時間の間に、自動攻撃の挙動が上書きされて、敵を攻撃してしまっている、っぽい。だから(これがもし俺のおま環なら申し訳ない)、自分としては適切にポーション飲ませたいときは、いちいちAI設定を自動攻撃すらもないところまで切り、確実に飲み終わってからもう一回AI設定を戻す、というかなり面倒臭いことをしてました。
そんなわけで、結局の所、主に対モブ用にキャラごとに汎用の能力を発動させるようにしておき、真の強敵相手にはオフにすることの多いAI設定なんですが、それにしてもよく考えたら(1に比べてみると)すごい進化ではありますけどね。特に海戦で拿捕を選んだとき、など、敵味方が入り乱れつつつ、自分の措定した能力を各キャラが発動してくれる様は非常に興奮するし、見下ろし型のD&Dっぽいゲームで、ここまで詳細にAI設定をできるのは初めてのケースだったのではないかと思います。
一方で、かなり逆説的な言い回しになるんですが、それらのオート戦闘の不備を踏まえつつ、強敵に対峙したときの戦略の厳密さ、を追求するとなると、いちいちスペースバーを連打しながらプレイヤーが各キャラを操作していく挙動の再現、つまりはターンベースモードの実装、というのも、開発の側からすると必然だったのだとも思われます。
というか、オープニング画面での表記見る限り、このターンベースモードそのものの実装は、ゲーム開発当初からのものではなく、どっかのアップデート入った時っぽいですね。自分は当然ファックマンさんの日本語化完成後、DLC全て発売後の後発組のプレイヤーなのでそのタイミングがどこなのかは正直分かりかねますが。
で、分からないついでに付け足すと、自分はこのターンベースモードを全く試していません。っつうのも、上述したように、個人的にはやっぱりリアルタイム戦闘~半リアルタイム戦闘、の緊迫感こそがこうしたTRPGベースのバルダーズゲートのようなゲームの最大の特徴の一つだと感じているからです(その延長でBiowareが作ったのがDragonageである、と)。
勿論、新たに発表されたバルダーズゲート3やWasteland3などの同系統のゲームが今やほとんどターンベースであることは百も承知していますが、そして、ほとんど一時停止して再度稼働させる多くのプレイヤーにとってのゲームスタイルがターンベース調であることも容易に想像できる所ですが、それでもやっぱりこの一時停止と起動の間の緊迫感そのものが失われるのは惜しい。それらの矛盾しつつも曖昧な所感が、私がこの項の冒頭でPillars of Eternity2内に新たに実装されたターンベースモードを未プレイであるのにも関わらず「既存のゲーム感覚から劣化している」と書いた意味です。
3 Tyranny、PoE1との展開の相違
さて、特に戦闘システムに関する言及を一通り終えたので、ここからは、ゲーム全体のストーリー展開やクエスト構造について述べていきたいと思います。
(個別のクエスト内容には極力触れないようにしますが、それでも物語全体の外形に触れないわけではないので、100%ネタバレを回避したい人、まっさらな状態でPillars of eternity2や1、Tyrannyを楽しみたい方の閲覧はご遠慮下さい)。
結論から言うと、今回のPillars of eternity2は、Pillars of eternity1と、オブシダンの全開発作に当たるTyranny、それらとの組みで、ある種三部作になっていると思うんですよね。
いやTyrannyはエオーラとは関係ねえじゃん、って言われるかもしれないんですが、上記の三作品には、個人的にはプレイ感覚に明白な相違、対称性がある。
たとえば、直近のPillars of eternity2のプレイ感覚から言うと、前2作品と違うのは、単純に、船で自由にMAPを移動できることですよね。これは結構、というか大分重要な変更点で、極端な話、ゲーム最序盤で自分用の船を修復した時点から、物語最深部のデッドファイアの海の果てまで、一気に船と船員を推し進めることも可能になっている。
だからこそ、そうしたゲームプレイの自由な順番選択を弛緩させないために、場合によってはレベルドリストそのものを変更し、自分のパーティーのレベルに合わせて上下変動させたり、上方修正のみをかましたり、といった選択肢も提示されるわけですが、まあここは展開そのものをある程度規定する意味も込めて、変更なしの既存のレベルドリストを生かした方がCRPGっぽい体験が可能である、ことは、戦闘システムに関する言及として既に述べたとおりです。
他方で、1とTyrannyのときは、勿論こうではなかった。Pillars of eternity1では、一部から二部、三部、と、物語の展開ごとに攻略できるエリアが開放されて、その中である程度順路に選択はできるにせよ、もしくは決定される運命が多岐に渡るにせよ、全体としては一本道のMAP状をプレイヤーキャラクタは進行していく形だった。
次のTyrannyでは(これについては以前に記事を書いておりますが)、常に差し迫る究極の選択、って感じで、MAPエリアの順路として「どこ」を指定するか、という課題が、物語の冒頭から、加担する勢力の選択にそのまま直結して、徹頭徹尾、二者択一をプレイヤーに要求する、決断そのものの俯瞰のようなものとして提示されていた。
これらの前2作品との相違が何を表しているかって言うと、まあここは別記事で掘り下げて書くつもりなんですが、個人的にはテーマ性の違いが物語の展開にそのまま影響している、と考えます。筆者は以前に、Pillars of eternity1を魂の問題(現在に置き換えると民族性、ネーション)を扱った作品として、Tyrannyを国家の問題(ステート)を扱った作品として、Tyrannyの記事の中で対比的に論じました。
じゃあ今回のPillars of eternity2が何をテーマにしているかって言うと、勿論、上述した魂の問題と国家間の問題はそのまま引き継がれつつ、今回は明確に「経済」がクロースアップされている、と考えられると思います。
ヴェイドウェンの遺物、とか、「布告」の代わりに、今回のPillars of eternity2deadfireでは、ルミナスアドラ、一択なんですよね。それぞれの勢力が全く別の目的でそれぞれ蠢いている、というわけではなく、もうとにかくルミナスアドラは儲かるんだ、と。その恩恵に与るためには、一定程度伝統とか民族的な風習を犠牲にしても仕方がない、と考えるような部族民が多かった所が、グランファーザンとフュアナの決定的な違い、と言ってもいいかもしれない。
その視点からすると、正直、ヴァイリア商社も帝国デッドファイア商社もプリンシピもネケタカの王族も大差がない、です。要は、いかにして自分とこのカンパニーが群島の経済圏を掌握して、他の所の会社の影響力を排除し、のし上がるのか、という話。
で、そうした各勢力感の主導権争いが元々存在している所に、たまたま、イオタスという神が巨人としての自身の体の動力源のようなものとしてルミナスアドラを求めてさまよい歩き始めた、と。さて困った、という所で、各勢力の主要な立ち位置の者が、混乱を鎮めるために調停者に働きかけてくる、というような流れが、今回のPillars of eternity2Deadfireの大まかな展開でしょう。
勿論、こうした全体の流れは、物語としては極めてよくできている、とも言えるんですが、この項の冒頭で述べた初めからどこへでも行ける一枚MAP、の採用とともに、プレイヤーの側には幾つかのゲーム感覚の変更が、特にPillars of eternity1との対比においてもたらされている、と感じられます。
具体的に述べると、どこにでも行けて、いくらでも迂回できる分、サブクエストやコンパニオンクエストなども隈なくこなしていくと、仮にPass of the damned設定にしていたにしても、中~終盤にかけてプレイヤーの側がオーバーパワーになりすぎ、プレイ感覚がかなりだれてくるんですよね。
直前で述べたように、今回のデッドファイア群島では、どちらかというと強固な政治信条を持っている、というような勢力よりも、稼ぎの邪魔するんだったら容赦しねえぞ、的な、野盗・海賊のようなスタンスのNPCが多いので、だったらこちらも力で解決しましょうか、っつう、要はゴリ押しができるようになってくると極端なパワープレイに頼り勝ちになる、そして中~終盤のプレイが一本調子になる、プレイヤーも多かったのではないでしょうか。
この点は、繰り返しになりますが、どこへでも行けて、海戦による拿捕で金策したり、アイテムのエンチャントによる強化、地道にクエストをこなしていくことで割と手軽に最高レベルまで行き着ける、今回のPillars of eternity2の仕様による所も大きいのではないかと考えられます。
私自身も、正直、MAPの全体像を把握し、キャラクタのレベル上限である20にまで中盤で達してしまった時点で、「うわっ、なんかこれすげえ底の浅いゲームなのか」と一瞬感じてしまったのですが、最終盤まで行き、ゲームクリアした現在から結論を言うと、全然そんなことなかったですね。
その理由として、一つには、この記事の冒頭で述べた、ゲームクリアの最終盤としての、裏ボス的な存在が真っ先に挙げられると思います。これらの存在が、ゲーム難易度の最終到達点としてのハードルになっている。
プレイヤーキャラクタのレベルが上限である20に達してしまった後でも、まあメインクエストに関しては全く問題なくそれでクリアできるとは思いますが、これら裏ボスに真正面から挑もうとする場合、実際の所まったく歯が立たないですからね。いや、これでも全然だめなのか、と。じゃあ、あとはど一体どうすればいいんだ、って所で、まだ世界には俺の知らないアーティファクト群や、試していないキャラビィルド、そしてそれらを活かした戦略が存在するに違いない、っていうことで、何となく放置していたDLC領域とかにも、改めて向かおうとする意欲が湧いてくる。ここらへんは、本当にうまい導線になっていると思います。
そしてもう一つ、物語の最終盤に迫るに従って課せられる制約、ここにもゲーム全体の構造をプレイヤーが理解して攻略していくのをダレさせない、非常にうまい仕組みが設けられている、と個人的には思いました。
(こっからは、非常にしつこいようになるんですが、ネタバレ、とは言わないまでも、ラスト手前のクエスト構造に関する言及を含みますので、Pillars of eternity2を未プレイの方は見ないことをお勧めいたします)。
それは、結論から言うと、ブラックウッド船体、コレね。これをクラフトで作るための素材が、MAPのあちこちに散りばめられている。別ゲーのKenshi、で言う所の、古代の科学書、みたいな感じか。何となく、最終分岐の前の選択肢の中で、他のファクションクエストに頼らずに自力で行く、っつうのが本筋っぽい気がして、敢えてどの勢力にも与さず、ブラックウッドを求めてデッドファイア群島中を旅しようとしたプレイヤーは、結構多いのではないでしょうか。
要は、冒頭から述べている裏ボスの存在、と並んで、仮にキャラクタがレベル20になったとしても、力で各島のクエストをゴリ押しできるようになった後でも、逃すことなくMAP全体を探索してくださいよ、という攻略上の仕掛けが、どこへでも行けて、どこからでもクエストをこなせる、全体のゲーム設計の最後に設けられている、ということです。
筆者自身は、なぜか某所のブラックウッドを一箇所だけ取り忘れていたんで、なんかレイシュン絡みのクエストやり逃したかな、とか、もしやDLC領域まで全部クリアしないとブラックウッドって手に入んないのかな、と錯誤してしまい、結果、ゲーム全体のクリア具合に対して、メインクエストの最後の選択を極端にまで留保する、という結果に陥ってしまいました。
ただ、DLCも含めて最後までクリアしてみて、物語全体を見渡してみると、結果的にその逡巡はゲームプレイとしてすごい良い方向に繋がりましたね。
っていうのは、DLC領域の「冬なりし獣」と「探索、討伐、生還の雄」まで実はメインクエストのラスト以前にクリアしてしまったんですが(忘れられた聖域、だけは何となく最後の愉しみとして取っておきたかった)、それらの領域も含めた全MAPエリアの探訪が、翻ってメインクエストの最終分岐への考えを改めさせた、というか、これ、何事もなく自力で各勢力を置いてきぼりにしてラストに向かうのが、必ずしも正解ではないのではないか、と考えるようになったんですよね。
4 メインクエストの最終分岐と各種エンディング
一応、未プレイの方やクリア前の方は既にこの記事を読んでいない、前提で書くのですが、このPillars of eternity2、には、物語の最終分岐、とも言える選択が存在します。
この選択は、オブシダンの作るRPGには最早定番、ですらあるのですが、要はゲーム内に存在する幾つかの勢力のうち、どこに属するか、どこと運命をともにするかを決定する必要があるんですね。
FalloutNVや前作であるPillars of eternity、そしてTyrannyに至るまで(もっと言えばBethesdaが作ったFallout4までここらの展開は模倣されている)、それぞれ選択がメインクエストに及ぼす影響の範囲の微細な相違こそあれ、片方を立たそうとすると片方は犠牲にせざるを得ない、という本当の意味での「二者択一」、「三者択一」がゲーム内の終盤に用意されている、といった仕様は、プレイヤーに周回プレイを求めると同時に、自分の選択が実際に世界に影響を与えている、といったカタルシスを齎すことになります。
つーか、多くのCRPGファンにとっては上記のことは自明ですよね。逆に言うと、ネケタカ、とかデファイアンスベイ、とか、ニューベガスみたいに特定のデカイ街に入った途端、幾つかの勢力に重要人物としてみなされ、それらの勢力の逆スパイみたいな感じで終始立ち回る、っつうのはオブシダンのゲームにとってはほとんど定番とすら言えると思うのですが、今回のPillars of eternity2におけるこれらの選択の今までにない特徴としては、その「最終選択」が勢力間双方にとって、かなり厳し目の末路を提示する仕様になっている、ということだと言えると思います。
多くのNPCの死を伴う、という意味では、むしろBethesda作成のFallout4での最終分岐に近いか。勿論、ニューベガスがオリジネーターだとしても。つーか、ここまでお互いがお互いに対する謀略を構想していた、というのは、分岐のあるCRPGの中でもかなり稀なケースである、と言えるのではないでしょうか。
それだけに、最短のクリアだけを目指して適当に自分のお気に入りの勢力と組むことはそれ自体後味の悪い事態にも繋がりかねないとも思う所ですが、もう一つ、Pillars of eternity2のメインクエスト最終展開前の「分岐」の特徴としては、おそらくここでの各勢力に対する選択が、エンディングで語られるデッドファイア群島での各勢力の運命に(その差異が僅かだったとしても)直結する、ということでしょう。
以上のようなことを、何となく「終焉の嵐」クエストのジャーナルでの説明文から予測することができたので、自分としてはこの決断を最後まで留保し、それこそブラックウッド船体で独力でラストに向かおうかと考えていたんですが、何か各地を回っているうちに、今回のPillars of eternity2ではむしろ何もかもうまく、丸く収めるようなトゥルーエンド的なものはなくて、「何らかの結論」を、各勢力が各勢力に謀略と犠牲を突きつける最終分岐に対しては導き出さなければならないのではないか、と考えるようになったんですよね。

その最終結論、に行き着く経過と、そこで辿る、辿らせた各種勢力とプレイヤーキャラクタの運命、その結果としてのエンディング、などは上記に掲げたそれぞれの別記事を参照して頂きたいのですが、1つだけ強調したいこととしては、前述したように、今回の場合「分岐」と「エンディング」があまりにも近い距離で近接していることですよね。
ほとんど「分岐」としての勢力の選択=エンディングと言っていい。この感覚の直接的な原因は、ラストの章の短さ、が挙げられると思います。結構こういうRPGの場合、最終選択をした後の一本道のダンジョンとか、プリエンドの展開が長くて辟易することが多いんですが、今回は極めて簡潔です。
それだけに、デッドファイア群島、の運命を自分の手で決定づけた、という強い印象がプレイヤーの中には残る、そうしたエンディングになっている、と個人的には思います。
ただ、上記のことはあくまでプレイしたときに受ける印象、の話であって(そこに自由度を与えることこそがRPGにとっては重要なわけですが)、実際にどれほどのヴァリエーション、選択を反映した種々の結果があるか、っていうのは検証しておりません(スイマセン)。
とは言え、ここまで何度も書いてきたように、ラストの分岐の「選択」からエンディングまでの流れ、そこで結論づける会話までの流れはとても短いので、もし「あらゆる結果」をコンプリートしてみたい、という欲求をお持ちの方がいたとしても、別に幾度もの周回プレイは必要とされず、数時間、十数時間程度のやり直しで確認できるのではないでしょうか。
5 本編クリア後とDLC領域
そんなわけで、ここまででざっくりとしたゲームシステムやクエスト構造についてはだいたい語り終えたと思うのですが、「経済」をテーマにした(と、筆者が考える)Pillars of eternity2のテーマ性にもう一度立ち返ると、ラストのエンディング周りの仕様には、また違った意味合い、開発の込めた意図が読み取れてくると思います。
以下は全て、ブログ筆者の主観です、と断らせて頂きますが、要はPillars of eternity2のエンディングというのは、そこで物語の何らかの終焉、シリーズ展開の中での一つの結論を導き出すようなものではなく、DLC領域や、その後のシリーズ展開への予想、もしくは周回プレイとしてのエオーラの世界への再訪、を直接促すようなものになっている、とも考えられます。
この辺りの感覚は、まあ1からのベテランプレイヤーには一発で分かってもらえると思うのですが、結局の所、エンディングに対してプレイヤーが与えた影響=プレイヤーのエオーラに対する解釈、なんですよね。
今回の場合は、前述したようにエンディングと最終分岐・勢力選択の間断が極めて短い分、その感覚は特に顕著になる。ほとんど、「ああ、俺があそこでああしたから世界はこうなっちまったのか」と、直接的に手を下してしまったような感覚に(おそらくは多くのバッドエンディング的な展開を目の当たりにしながら)、プレイヤーは襲われることになるでしょう。
逆に言えば、プレイヤー側の、神々に対しての理解や、デッドファイア群島内での各勢力に対する印象が変わるたび、最後の選択とその後の問と答えは変じられることがありうるし、当然のことながらエンディングでの各地域に反映された影響もその都度変更されていく。
で、「経済」をテーマにしたデッドファイア群島での立ち回りの中では、実はこれらの微細な世界解釈、エオーラでの国家間の係争や神々が何を象徴しているか、という各種の問いは、特に中~終盤、自分のパーティーキャラクタが強くなりすぎ、「パワー・オブ・マネー」でゴリ押しできるようになるとほとんど忘れかけ勝ちになってしまう所なんですが、ここを改めて、1で語られていた「魂」の話、神々との関係や国家が下した歴史的決断などの諸問題に立ち返らせるのが、MAP内の辺境にあるDLC領域である、とも言えると思います。
特に、DLC第一弾としての「冬なりし獣」などは、まさに上に述べた効果をプレイヤーに与える代表的な追加コンテンツでしょう。いや、もし未プレイの方が要られた場合に備えてはぐらかして言いますけれども、ここをプレイしていないといるとでは、まあ最後の神々に対する問いと答えや、プレイヤー側の決断も如実に変じられてくるかもしれない。
一方で、第二弾としての「探索、討伐、生還の雄」は、かなり逆説的にはなりますが、ある意味で、もう正直メインクエストとか関係なく、ひたすら強い敵や挑戦的な戦闘を求めてアイテム収集に明け暮れる、血に飢えたプレイヤーの姿をDLC自体が象徴してもいる。
ただ、またそこで巧妙なのは、これでもかと手に入るアーティファクト群、これらの説明文ね、それをまた読み込むことで、新たなエオーラの世界像が継ぎ足されていく、カズワリを巡る冒険は端的に言ってそんなコンテンツです。
そして、第三段としての「忘れられた聖域」、こここそが、まさにプレイヤーの側に終わらない冒険を突きつけるまさに最後の領域でもある。
そこにあるのは、勿論ワエルと魔道士をめぐる深部に下っていく探索でありつつ、実際に主題となっているのは「本」ですよね。その読解、メインクエストもDLCのコンテンツもそっちのけで陳列された「本」の世界に没頭していく過程が、ある意味では今回のPillars of eternity2のラストにプレイヤーに用意された最後の遊び、であるとも言える。
6 (始まりの)終わりに
っつうわけで、最後は若干ブログ筆者の主観がすぎる結論、記述内容になってしまいましたが、それらを差し引いても、とにかくPillars of eternity1と2、及びTyrannyが他のどんなCRPGやファンタジー系の物語に比べても引けを取らない世界観、そして、考えられないような奥深さを保ったテクスト群を保持したゲームであることは、既にこれらのゲームをプレイしたユーザーの方にとっては否定しようのない、疑いようのない事実だとも思われます。
まあだからこそファックマンさんとSynctamさんのお二人には感謝してもしきれない、というのも、日本の海外RPGファンにとってはデフォルトの心象でもあり、正直、この三作品の翻訳という偉業が、PoE1と2、及びTyrannyを遊んだプレイヤーに忘れられることはないでしょう。
で、このブログ記事の〆として最後に書くと、ここまでの記事内で示したブログカードリンクとして、「シングルクラスとマルチクラス考察」、「デッドファイア四代伝説の倒し方」、そして、「俺の選択した最終分岐」、「その結果のエンディング」、または別記事としての「ネタバレ品範囲での簡易WIKI」、に関しては既に記述を終えた所なんですが、あとは、上にも記したように、プレイヤーに赦された最後の冒険として、Pillars of eternity2の中に記された各種フレーバーテキスト群、それらを整理してみたい、という欲求も個人的にはあります。
まあ初めは「お気に入りのアーティファクト」くらいにしときたいと思いますが、あとは特に神々に関わる所とか、やっぱりDLC3の「忘れられた聖域」内での本でしか分からない所もあると思うし、こっから先はまあなんにも約束できないしブログ筆者の気力次第ではあるけれども、もう少し自分で撮りためたゲーム内画像を眺め回して色々と考えてみたいと思います。
もしくは、それこそCRPGまにあのSさんが施行した「トリプルクラウンでのソロプレイ」とかね。とにかく、当サイトは今の所は自己満足のオナペディアくらいの感覚で、PoE2に関しては幾つか記事にすることを予定しています。
(とは言え、STEAMセールもこの記事上げてるときくらいには始まってるだろうし、ハニセレ2の追加コンテンツも買ったきり放置しっぱなしだし、DMMでグラビアアイドルとか女優もディグらなきゃいけないんで、どこまで今現在のやる気が維持できるか怪しい所のあるブログ筆者ではありますが……)。
何にしても、ひとまずここまでお読み頂きありがとうございました。Pillars of eternity2関連で興味持った方がいたら、また適当なタイミングで覗きに来てみて下さい。ではでは。
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