以下は、Pillars of eternity2内でのシングルクラスとマルチクラスの違い、その中でどのような組み合わせがマルチクラスにふさわしいのか、むしろ合わないのか、などを、主観で論じたものです。
基本的には、難易度Pass of the Damned、レベルドリスト変更なし、の環境で、DLC領域も含む、全てのエリアで全ての敵キャラ、ボスキャラを討伐することを目的としています(その中でも特に強敵と思われる四大伝説に関しては、下記の記事リンクをご参照下さい)。
また、ストーリー上のネタバレとかは特にないですが、一部、途中で仲間になるコンパニオンのクラスや、もしくはクラスそのものの使用感などにも言及しますので、完全にまっさらな状態でPillars of eternity2をやりたい方の閲覧はご遠慮下さい。
1 基本的なマルチクラスの仕様
さて、ちょっと前置きばかりが長くなってしまいつつ、本題に入ると、まずは当然のことながらシングルクラスの仕様と、マルチクラスの仕様の基本的な相違を抑えておく必要があるでしょう。
私は当初、そもそもマルチクラスには全く興味がなくて、「新規プレイヤーには推奨されません」、というオブシダン公式の側からのゲーム内メッセージを遵守し、普通に仲間キャラのクラスも選択時の最上部の、一番それっぽく見えるシングルクラスの奴を選んでいたんですが、その過程でマルチクラスの基本的な仕様を知るきっかけになったのは、某サイドキックキャラなんですよね。
クエストでの推奨コンパニオン、としての表示などを見る限り、「冬なりし獣」用のガイド、と言った立ち位置のイードウィンなんですが、まあ個人的にはPillars of eternity2唯一の萌えキャラなのではないかと思います。声めっちゃかっこいいし。
で、どうやらこのキャラを是が非でも使ってかなきゃいけないな、と考えたものの、このキャラのクラスには「マインドストーカー」っていうマルチクラスがデフォルトで設定された状態になってるんですよね。
普通のサイファーなら某キャラがいるし、一通り話し聞いた感じで単純なローグって感じでもなかったんで、「新規プレイヤーに推奨されない」マルチクラスをここで初めて使うことになった。
結論を言うと、このイードウィン、はかなり地雷ですね。能力とクラスのバランスが合ってない、というか、いずれにしてもあまり使いやすいキャラではない。それでも、まあシングルクラスしか使っていなかった私のようなプレイヤーが、マルチクラスの仕様を学ぶガイダンス的な意味では最適なタイミングと位置づけになっているとは思います。
またちょっと前置きが長くなりすぎたんで無理やり修正すると、イードウィンにレベルアップ時のポイント振りをしてみれば分かる通り、マルチクラスの場合、初めに設定した2つのクラスに適宜ポイントを割り振っていくことになります。
ただ、この際のポイントは、何も半分ずつにしなくてもいい。普通のシングルクラスのキャラで、2ポイント分がもらえる特定のタイミングだけ1ポイントずつを各クラスに割り当てなくてはなりませんが、1ポイント分を割り振るときは、たとえばローグとサイファーのマルチクラスのうち、ローグ側にだけ偏らせてポイントを割り振ることもできる。
だから、ブルウィルだとかスネークリフレクスなどの共通パッシブを2ポイントのタイミングでそれほど重視しないクラスの側に割りあてれば、ごく一部のパーエンカウンター能力のみを選択し、あとはもう片方のクラスの特性を活かす、なんていう極端な構成も可能なわけです。
他方で、マルチクラスは上記のようなポイント割り振りをする手前、レベル8と9の最深部の各クラスの能力を選択できない、という欠点もある。クラスによっては、特にそれら高位の能力に有用なものが残されている場合も多くありますので、そこを活用したい育成方針の場合には、マルチクラスはその仕様自体が重度なペナルティであるとも言えます。
2 マルチクラスの最大限の活かし方
以上のことを踏まえると、導き出される結論は2つで、その結論に沿って、必然的にマルチクラスに向いているクラス、向いていないクラスというのもある程度定まってくると思います。
まず注意しなければならない一つ目のことは、直前で述べたように、マルチクラスでは最深部のパーエンカウンター能力は使えないし、かつ煉達レベルもシングルクラスで最高レベルにするより低くなってしまうので、特にこの高位の能力、クラス固有の能力を発動させて戦うことがメインのクラスにはマルチクラスの仕様は向いていません。
具体的には、メイジ、プリースト、サイファー辺りですか。これらのクラスは、まあ仲間へのサポート役に徹する役割としてなら話は別ですが、どっちかっていうと敵を攻撃したり弱体化させたり、増強能力を剥がしたり、っていう、要は敵への命中精度が問われるようなパーエンカウンター能力が多いので、それらを少なくとも敵に当てようとする場合、煉達レベルが抑えめになってしまうことと、そもそも高位の呪文を使えない事自体が、全くクラスの特性を生かし切れていない、という結果になってしまうでしょう。
次に意識すべき点としては、たとえば低レベルでのレベリングのときに、何となく取るポイントがない、ポイントが無駄になってしまっているように感じるクラス、これらの場合には、マルチクラスの2つのクラス双方にポイントを割り振れる、という特性が生きてくる、ということです。
具体的には、というかただ一つの結論を示すと、こちらの特徴を活かせるのは、チャンター、ですね(上の画像はパラディンと組み合わせようとした例)。このクラスはマルチクラスにとって最適なクラスと言っていい。
その理由は、チャンターを使ったことのある方にはお分かりの通り、レベル上げのときに、基本、インヴォケーション能力とフレーズを覚えていくのにポイントを割り振っていくわけですが、その両者ともに、高レベルになると、結局は特定のインヴォケーション、特定のフレーズしか使わなくなってしまいがちになる、からです。
要は、それこそレベル20にまで達したキャラの能力再振りをする場合、特定の、予め使うと決めているフレーズとインヴォケーションのみをとって、それ以外は別の、チャンターではない組み合わせた側のクラスにポイントを全振りする、ことが可能なわけです。
これが何を意味するかと言うと、要は既存の(組み合わせた側の)クラスの特性を活かしつつ、しかも特定のタイミングでチャンターのインヴォケーションを自在に使える、キャラができるわけです。後述しますが(もしくはその実際の運用については別記事で述べますが)、実質的には、ほとんどこのマルチクラスの仕様はチャンターのためにのみある、と言っても過言ではないかもしれません。
3 幾つかの組み合わせ事例
そうなってくると、勿論プレイヤーの方の嗜好によって多様な組み合わせがあると承知しつつ、基本的なマルチクラスの仕様を最大限活かす方向性としては、2パターンのみ、になってくると思います。
一つは、(上述したように高位のパーエンカウンター能力は使えないので)、下位のレベル7までのパッシブ能力を組み合わせる形。
もう一つは、チャンターのインヴォケーションの特に「召喚呪文」、これを定期的に撃ちつつ、他クラスの特性を活かす形。
後者の強みは誰が考えても一発で分る所ですが、前者のパッシブを重ねることでキャラの特徴を活かす形、に関しては、結構多様な組み合わせがあるとも考えられます。
私の場合は、このブログ内でも繰り返し述べている通り、デッドファイア四大伝説に挑む形でキャラを作り直す過程でマルチクラスに関しても改めて考察したので、結果的に遠隔武器前提、命中精度前提でパッシブを重ねることを目的に組み合わせを考えたのですが、以下ではそうした中でのキャラ作成事例を幾つか紹介したいと思います。
① レンジャー+ローグ(スカウト)
遠隔武器での最大火力を目指したのがこの組み合わせ。ローグでクリティカルダメージの威力を補正しつつ、レンジャーで遠隔武器そのものの命中精度を高めるようにポイントを取っていきます。
当然、レンジャーのサブクラスにはシャープシューターを選択。ローグと組み合わせるクラスとしては、まあレンジャーではなくてファイターでもいいのですが、遠隔でも近接でも行けるファイターではなく、特にレンジャーの場合は、「銃兵」や「マークスマン」、「適者生存」や跳弾させるやつなど、遠距離武器での命中補正を伴うものが非常に多い。なんで、アークウィバスでの最大ダメージを目指すなら、必然的にこのレンジャーと、相手の生命力依存でダメージを増強していくパッシブやアクティブ能力のあるローグ、この2つの組み合わせが最適なのではないか、と。
一応、ステ振りや種族、武器選定にも言及しておくと、これも当然ですが知覚は最大値に。技巧もできるだけ高いほうがいいでしょう。一方で、智力や精神力はほとんどいりません。気力もできるだけ高く、と言いたい所ですが、このゲームでは命中力とヒット、クリティカル変換の方が見かけ上のダメージ、よりも重要になることが多いので、知覚や技巧ほどの優先度はない(それでも高いに越したことはない)。体力は、まあ危機管理程度としてどのくらいにするかはお好みで、といった所でしょう。
同様に、ハース・オーランは仲間と同時対象の攻撃でボーナスが乗るのがデカイ、ですね。武器に関しては、おそらくほとんどの方がご承知の通りレッドハンド一択、でしょう(衣服などもマイア女史から剥ぎ取っておくといいかもしれません)。
② ファイター+チャンター(ウォーコーラー)
こちらはチャンターのインヴォケーション及びフレーズでの召喚能力を活かしつつ、それらを壁にして遠隔武器を使う形。というか、個人としての硬さ、も含め、もしソロプレイなんかがありうるとしたらこの組み合わせが一番有用かもしれません。
ファイターのサブクラスとしては、デヴォーション、を選択。このクラスは練達武器として一種類しか武器を選択できないんですが、ゲーム終盤で、予め使わせる武器系統が決まっているときなどは、その分余計にボーナスを得られるわけで、ファイターのサブクラスの中でもかなり有用な部類に入ると思います。
もう一つ、チャンターのサブクラスとしては、私は他のクラスと組み合わせるときなども「べコナー」を採用していたんですが(インヴォケーションに必要なフレーズが1増え、かつ召喚したキャラは弱くなる代わり、召喚数が倍になる)、これは正直微妙かもしれません。
なんでかって言うと、ただ単に人海戦術で行くとすると、フレーズそのものの中に無際限にスケルトンを召喚し続けるやつがありますからね。これで十分かと。それに、たとえばアニメイテッドウエポンを取るにしても、最大生命力はかなり減るので。弱々しい召喚キャラってのは、ちょっと寂しいんですよね。
で、ちょっと話が逸れましたが、このファイター+チャンターってのは最高クラスの有用性を持つ。ファイターの利点としては、他クラスではほとんど空気でしかない練達武器の選択をパッシブで最大限活かせる(カンフィデント・エイム)所と、スタンスによってさらに命中力を向上させたり、アクティブ能力で自身の技巧を補正できたり、とにかくこのゲームにとって最も重要な命中精度を自己バフで高められる点、だと言えます。
今回の私の場合は、何度も繰り返すように裏ボスに対するために遠隔武器仕様にしましたが、スタンスやパッシブ能力によっては、勿論守備重視、死ににくさを重視しつつチャンターで増援を頼む、っていうプレイスタイルも可能なわけで、上述したように最もソロプレイに向いたマルチクラスとしての組み合わせ、とも言えるかもしれません。
③ パラディン+チャンター(べコナー)
パラディンのサブクラスとしては聖エルガの盾を選択。盾装備時交戦数+1に期待してのものですが、まああんまり意味はなし。
こちらは、自身の死ににくさと、パーティメンバーが気絶したときの復活、及びチャンターとしての召喚による壁の生成、つまりは広い意味でのタンクを意識して作ったキャラ。
他記事でも述べている通り、今回はリヴァイヴァ・ザ・フォールンの魔導書が大量生産できるような代物ではないので、キャラが気絶したときの復活の手段は、パーティーキャラの複数人で所持していることが理想と言えます。
具体的には、パラディンのパーエンカウント能力であるリヴァイヴァ・エクスホーティションとチャンターのインヴォケーションの「蘇らん、蘇らん、アドンの巨木」。この2つを使えるメンバーが、まあ長期戦を想定すると2~3人はほしい所。そこで今回のヘラルドを例に取ると、一人でその両方とも使える、っていうのが、二重、三重の危機管理に繋がります。
状況によって、仲間キャラが気絶した瞬間にフレーズの足りないときなどは、パラディン能力の方で復活させ、それ以外に余裕のあるときはアドンの巨木、を使う。こうすることで場合によっては一時間にも二時間にも及ぶ某ボス群との戦闘にもかなりの余裕が出ると思います。
4 イードウィンに立ち返る、及びゲームの全体バランスへの考察
と、ここまでである程度マルチクラスの特性と長所について語り尽くしたので、以下ではおまけとして、何故イードウィンがいまいち使えないのか、の分析に立ち返り、そこから逆説的にマルチクラスの活用方法を限定して抽出してみたいと思います。
ですがその前に、ゲーム全体としての、シングルクラスマルチクラス共通の戦闘の印象を整理しておくと、基本的には今回のPillars of eternity2では、1からの共通した特徴である、命中力重視、知覚重視のゲームバランスが、さらに際立っている、と感じました。
ゲームに慣れてきて、それらの特徴を踏まえた上でキャラを作るとなると、結局の所、召喚で壁を作り(要は自キャラが攻撃されない状況を作り)、遠隔から命中精度の高い攻撃を繰り出す、というのが唯一の解になっている、という味気のない結論も否めない所だと思います。
ゲーム攻略の最終盤では、もうはっきり言ってメイジもサイファーもプリーストも陳腐化してしまうんですよね。メイジ・サイファーに関しては、そもそもパーエンカウント能力に命中補正がないので、私が別記事で四大伝説として上げたような超強力な敵(ごく一部ですが)相手には、そもそも攻撃自体が当たらない、ということになる。
一方でプリーストに関しても、防御力や回避率を高める一連の呪文も、そもそも使い捨てとしての召喚キャラを十分に壁として出していれば必要ないし、それらの呪文が仮に有用だったとしてもスペルリソースは限られているので、長期戦には向かない。
2の新要素としての煉化、も含め、これら特定のパーエンカウント能力を強化して一発で片を付ける、ような戦い方は、Pass of the damnedでの超強敵を前提とするとあまり機能していないようにも見える。いや、それらを基本として考えること自体が間違っているのかもしれないですけどね。
とは言え、仲間になるサイドキックやコンパニオンの中には特定のクエスト群に関して固有会話のあるキャラも多いので、まあそれらを使えないながらも無理やり調整していくのも、一つの醍醐味ではあるでしょう。幸い、DLC領域も含めて、メインクエスト周り、通常の物語周りには四大伝説のような驚異的な強さを持つ敵は見受けられないんで、2,3体、無駄なキャラをパーティに入れつつ、冒険して行くくらいの余裕は全然ある。
そこで、「冬なりし獣」には絶対に連れて行くべきイードウィンに立ち返ると、まずサイファー+ローグっていう組み合わせそのものがいまいち機能しない、です。
おそらくサイファーを最大限活用する方法としては、いずれにしろ攻撃をヒットさせなくてはフォーカスを上げようがないんで、他の、武器攻撃のヒット率、命中率を上げていくパッシブのあるクラスと組み合わせて、そこから無際限に能力を使っていく、というようなイメージが湧くと思うんですが、どっちかっていうとローグっつうのは、ヒットのクリティカルへの変換、クリティカル定数を上乗せすることで、最大限のダメージ値を目指す、DPS的なポジションだと思うんですよね。
だから、Pillars of eternity2で言う所の、ストライカーとして起用すべきなのか、クラウドコントロール要員として起用すべきなのか、がいまいち判然としない。
加えて、気力、体力ともに低いため、サイファー能力のダメージ値もそこまで期待できず、さらに最大に欠点として、致命的にやわらかい、ということにもなる。
まあそこがかわいいところでもある、と思って結局使っていく方も多いとは思いますが、上述した幾つかの特徴を踏まえた上でそれでも使用法を見出すとすると、遠距離武器を持たせて敵の攻撃の当たらない所からフォーカスためてサイファー能力定期的に使うか(敵が寄ってきたらエスケープ)、もしくは重装鎧と盾持ちなどで防御力と防御係数をガチガチに固めて、タクティカルメルドなどの守備系のサイファー能力を使いつつ、ローグのダーティファイティングなども取って、近接よりのサポート役として生かす、位になってくるかもしれません。
ただ、智力と技巧、知覚などは結構高いんで、そこに他のスキル依存で命中力の変化する武器などを組み合わせれば、全然使い用はあると思います。また、今回はソウルバインド武器などで結構サイファー指定のものとかもあるので、それらを活用する意味でも、イードウィンを連れ歩くケースはありうるのではないか、と。
そして、まあ結局の所、正直Pillars of eternity2では唯一と言えるほど、ちょっと正常な、格好いいキャラ、でもありますからね。ショーティとかグリーブマザーのメンヘラぶりに疲れた方などは(特に「冬なりし獣」の神託官の戒府、などでは絶対に)、このイードウィンを無理矢理にでもパーティ編成の中に組み込むことも考えるべきでしょう。
……と、ちょっと話は逸れましたが、シングル・マルチクラスの考察については以上です。Pillars of eternity2については幾つか他の記事も書いておりますので、興味を持ってくださった方は別の記事も読んでみて下さい。ではでは。
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