目元の造形のバランスに気を取られすぎて、ついつい忘れてしまいがちな目の細部の項目についてこの記事では見ていきたいと思います。何れにしても、目元との調整値の連動は必須です。(さらなるスライダー設定模索後の目の造形の修正は以下↓を参照下さい。)
1 三白眼気味の調整
いきなり唐突な目次なんですが、この記事全般は、リアル寄りのキャラメイクを目指したい方向けになっておりますので、特にこの目の設定値については、そこを意識しない方にとって無用の長物となっています。キャラ造形の一つの方法論、としてご容赦願えればと思います。
で、一気に結論から言いますと、目元の項目に於いては離れ目の是正、目の横幅の再調整こそが本質である、という意味のことを書いておりますが、
こちらの目の項目に関しては、それと連動する形での、目の大きさを小さめに設定した場合に起こりうる、黒目、及び虹彩の大きさの是正こそが、具体的な課題となってきます。
繰り返し申し上げるようですが、この問題についても、一般的な、アニメよりの描写、
キャラ造形を志す場合には起こりえないことです。私の方法論が招き寄せた災難、とでも笑って頂ければと思います。
とは云え、一部の少数の読者のために書いておきますと、ここの設定も、ある種の極端にまで寄せた方がいい、わけです。具体的には瞳の幅、と高さの項目ですね。ここをデフォルト状態よりもかなり低めに設定する必要がある。
この際に注意しなければならないことは2つあります。
一つは、
一律で幾つ、という数値目標を設定しないこと。なぜなら、目元側の設定のアイラインの種類や、上まぶた及び下まぶたの形状に施した数値によって、キャラの目の大きさはまちまちであるからです。この点を無視してしまうと、目に対して幅や高さの足りない異様な形ができあがってしまう。
2つ目は、
ハイライトの種類と瞳の種類の設定をおろそかにしない、ということです。ここは黒目そのものの数値設定とはあまり関係がない、と考えてしまいがちなのですが、実際にはある種の人間の目の錯覚として、色味によって目の大きさそのものから受ける印象も全く変わってくる。
よく黒は収縮されて見える、と言いますが、キャラメイクに関しては事態は全く逆で、とりあえず黒目だし、黒くしておこう、位の感覚で設定すると、逆に非常に硬質で膨張した目の印象になる。色を淡めに、茶色やグレーがかった設定を入れておくと、この「黒目の硬質感」は若干是正することができるでしょう。
以上のことを踏まえた上で、ここからは各設定値の具体的な数値目標と、スライダーを調整する上でのポイントを整理していきます。では、早速参りましょう。
2 白目のグラデ種類
と、ここまで述べた上でいきなり変化球なのですが、この「白目のグラデ種類」及びその色味、の調整は、地味ですが非常に重要です。
特に注意したいのは、白目の色2、の項ですね。
白目のグラデそのものに関しては、若干目に影を持つ女、的な設定で細やかに配置している方もおられると思うのですが、この色味まで調整しておられる方は少数派なのではないでしょうか。
と云いますのも、デフォルトだと若干色味が強すぎますよね。いや、影かかりすぎでしょ、と。特にセルフシャドウやアンビエントオクルージョンの強いスタジオ内の屋外や屋内だと、この目の影が如実に出てしまう。
とは云え、各キャラの白目のタイプを統一するわけにも行かないし、そこで提案したいのが、白目の色2の色味を弱める、ということですね。これによって、深い影でもカジュアルな印象にできるし、その位相の変化によって、また無限に目の印象を広げられますから。
で、さらに云いますと、この白目2で設定した影の深み、は、「目元」の項目でも論述しましたように、別項目としての目の大きさ全般の調整にも役立てることができると思います。
どういうことかと云うと、影を浅くすることで、ほんの少しですが、目全体から受ける印象を大きめに感じることができるのです。逆に、白目2の影を深くすることで、同じ目元側の数値設定でも、若干目を小さめな印象にすることもできる。
こうした、特定の色味設定を別の数値設定の補完に利用する、というのが、私がこの記事を含めた幾つかの記述の中で論述しようとしていることです。これらのテクニックを活用することで、キャラ全体の描画の規則性や数値設定上の制約を保ちたい場合に、その数値を保ちながら、キャラの個性を強調することも可能となってくると思います。
3 ハイライトの透明度
引き続きこちらの項目も、これまた微妙な加減の調整が必要になりますが、透明度、としたのは虹彩上の光の加減をどの程度反映するべきなのかどうか、ということですね。
正直、こちらの項目も、このハイライトの透明度、として独立した状態を提示するのは難しいです。というのも、瞳の色味設定や、瞳自体の幅、高さ、とも関連していると考えられるからです。
全体を黒目勝ちにするんだったら、透明度を強調してハイライトの瞬きを強く入れてもいいと思えるし、本当に全体をカラーコンタクトのように重い印象にすることもできる。ただ一つだけ言えるのは、あまり全体を重い印象にすると、特にキャラの顔をアップしたときに生気のない目になりがちです。
ですので、瞳の色全体をある程度明るくするか、もしくは黒目勝ちにするんだったら、
ハイライトはある程度キラリ、と入れた方がいい。また、瞳の幅、高さを少し大きめの数値にした場合なども、目の印象を少し弱めるために、ハイライトは入れた方がいいでしょう。ここの設定は、特に今回のようにリアルに寄せるとなると、結構、一律で暗めに設定したりすることも多いと思うので、微妙な光の加減の反映にも注意を払った方がいいと思います。
4 瞳の位置、幅と高さについて
瞳の左右位置については、目の横位置設定と連動していることは「目元」の記事で述べたとおりです。ただ難しいのは、寄り目設定を是正するために瞳を若干離し気味にするのか、もしくはすでに離れ目を是正した目に対して整合性を保つために、近い位置に配置し直すのか、ということです。
この点は、本当にキャラごとに微調整する、としか言いようがないでしょう。大体60の後半から70の前半に収まるとは思いますが、そこをもっと極端に離し、焦点のあっていない目なんかも魅力がありますから。
瞳の上下位置、に関しても、20の後半から40の前半くらいですか、ただ、この数値設定は1の幅が大きめの項目の一つでもあり、本当に繊細な調整が求められます。あと、順番が逆になりましたが、いずれにしても目の横幅設定の方を下限に近づけていることが前提となります。そのあたりのことは再度、目元側の記事も参照しながら微調整してみてください。
他方で、
瞳の幅と高さの調整は、ざっくりとした指標に収まりやすい半面、(瞳の幅は70半ばから80前半、高さは50~60代)またややこしいのは、たった今あげた数値目標を見てもお分かりの通り、1、の調整で変動する幅が一律でない、ことですね。
瞳の幅は、はっきり言って1変えるだけでも印象がガラリと変わります。一方で高さの設定は、5くらいざっくり動かしてもあまり問題がない。まあ、この点は私が横幅を下限近くに設定していることにもよりますが、幅を狭めることで、逆に三白眼になり気味なので、注意が必要です。
5 瞳の色、グラデ設定
で、最後に瞳の色、グラデ設定なのですが、この値は前述したように、黒目全体の膨張感と密接な関係があります。
繰り返しになりますが、色から受ける印象と、瞳の幅、高さ自体は互いに関係しています。そして、リアル寄りに目を設定するとなると、横幅に対しては三白眼気味になり、また、縦幅に対しては、上まぶたと下まぶたの縁取りにちょうど黒目部分が重なるくらいの調整が必要になってくるでしょう。
こうして、アニメ的な描画からしてみれば、極端に中央に寄った目の状態に対して、本来キャラクタの目の持っていた印象、離れ目なのか、黒目がちなのか、コンタクトをしているように膨張しているのか、それらをもう一度埋め直すように色味を設定し直すことが、瞳の色、グラデ設定の補足的な部分、ということになります。
本来、キャラの特徴として描画すべき色味を、形そのもののを演出する手助けとしても利用するわけです。言うまでもなく、これらの影響はごくわずかの部分に限られますが、それでもヴァニラのスライダー値を全て活用するためには、こうした数値以外の色味の微調整を伴って形そのものを作り変えていくことが必要になります。
試しに、既存のキャラクタの目の色味を明るめに設定し直して頂ければ、それだけでも印象の違いは一目瞭然だと思います。勿論、大きめの目にして、目のグラデそのものでキャラの個性を出す、ことこそが2d的キャラメイクにとっては一般的だとは思いますが、形を微量ながら補足する、という意味での、方向性の異なった点睛の仕方もあるとご理解頂ければ幸いです。
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