AI少女のキャラクリは神ツールである、とここに宣言させて頂きます。
ゲーム本編に対する一般的な批評は既に多くの方が施行済みと思われますので、今回の記事は、主にキャラクリ、StudioNeoVersion2 に対してのものとお考え下さい。
(2020年6月1日追記:ハニセレ2へのコンバートに向けて、AI少女用のキャラメイクマニュアルを個人的に作りました。キャラメイクの詳細についてはそちらをご参照下さい)
また、衣装配布については↓こちら。
以下は、「AI少女」時での、キャラメイクに対する雑感となります。
1 ツールとしての位置付け
まず、Illusion社に対しては、感謝しても感謝しきれない、というのが、このゲームのキャラクリの本質に気づいてしまったユーザーからの、率直な感想であろう、と思われます。
特に、コイカツの2D表現の中で追求された細部造形に対する指示が、大元の3Dのキャラメイクの方にフィードバックされ、こだわり抜こうとすればするほど、奥深く、終わりのない構成が可能になっていることは疑いようがないでしょう。
おそらく、市販されているゲームの中で、ここまで細部に拘ったキャラクリを施せるものは他に無いのではないでしょうか。というより、最早3DCGツールの簡易版、といったレベルである、とも言える。ですんで、ここからは、そうしたツールとの兌換関係、について、若干回りくどいと知りつつ、初めに論じておきたいと思います。
当然ながら、私はそういったプロ仕様のツールを全く扱えないズブの素人なんですが、それでも、それなりのCG上のキャラクタが作れるわけですから、この点は率直にありがたいですよね。
もう少し具体的に云うと、素人ながらに解釈してみるに、顎、頬、目、眉、鼻、口、などの各項目別の分類の中に、本来なら(一般的なCGツールを使用するなら)0から作り上げ、把握していかなければならないパーツの位置取りに対する、当たりのようなものが印付けられている、と考えられると思います。
だから、プレイヤー側は、それらの各項目が「どこの」部分を示しているか、を把握するだけでいい。あとは、0~100の値の中でその部位がどの程度形状を変じさせるか、を確認して、微調整していくことで、あたかもプロのCGクリエイターがX軸、Y軸、Z軸という座標上で立体造形を彫作していくのと同じような感覚を得られることになる、というわけです。
2 実際の運用
で、ここからはでは一体、プレイヤー側がそれをどう活用していけばいいか、という視点に移っていきたいんですが、上記のことの必然的な帰結として、まずは立体構成上のあらゆる角度から、各部位まとめ内の項目値が、「何を示すのか」について理解する必要があると思います。
まあここは正直、一個一個の項目を、0~100までの極端な値の中で動かしてみるのが手っ取り早いですよね。そうしてみると、ああ、この項目は鼻の中でも、こういう特徴を表現しているのか、というのが把握されてくる。
私個人の結論から云うと、これら、割り当てられた項目値ごとの表現の幅は、ほぼ完璧に近い、と言えると思います。つまり、プレイヤー側が十全にこのゲームのキャラメイクを理解しさえすれば、本来辿り着きたかったイメージに、かなりの精度でたどり着ける。
ただそれは、リアルそのもの、とか、現実の人物の造形、とは全く別のものです。当たり前の話ですが。
ここまででざっくりと、各項目値の正確な理解に必要性については述べましたので、以下ではそれらの数値によって整形されたイメージと、現実のリアルなバランスの相違について、引き続きキャラメイクツールの特徴を論じながら言及していきたいと思います。
3 ツールの限界とプレイヤー側の工夫
直前の項で、各顔パーツの分類内の項目が「どこを示しているか」を理解すれば、プレイヤー側は自由にイメージを形作れる、と書いたのですが、ここには当然のことながら、ツール自体に内在した幾つかの限界があります。
① 顔上部(額)の広さ、高さ
まず、これは特に髪型設定との兼ね合いになるのですが、前髪そのものに分かれ目がある場合、その中央の分け目で示される額部分は、かなりY軸上の高さが出るものとなります。
もう少しシンプルに云うと、狭い額、っていうのができないんですね。勿論、おでこ大きめの顔の形状は利発そうな印象になって良いと思うのですが、特に目や鼻のバランスを顔の下部よりに位置づけようとする場合、この、上方部分にまで跨る額の高さを変更できないという点は、調整上のネックになる可能性があります。
② 項目上の数値設定の上限と下限
2つ目の限界は、これは言及するまでもなくあまりにも明白なことですが、0~100の間で設けられた項目ごとの設定もプレイヤーは超えることができません。
ただ、コイカツのキャラメイクとは違って、今回のAI少女のキャラメイクでは、このスライダー上の制約が問題になることはほぼ無い、と思います。
唯一、問題が起こりうるとすれば、それは上記、額の幅と高さの変更不能性に付随する形での、顔の下部側に比重のある顔立ち(いわゆる熊顔)を作ろうとする場合のみでしょうか。
要は、顔の上部を小さめに設定して、顔の下部を広めに形作る、というごく一部の顔型の造形に関しては、顔の上部設定の下限がある意味で高めに設定されているため、かなり困難になっているわけです。
③ 鼻筋上部の初期位置
もう一つ、プレイヤー側からはどうしても変更できない要素として、顔の中心点の規定、つまりは鼻そのもの位置、があります。
勿論、鼻全体の位置は変更可能なわけで、一見この中央の鼻造形の位置付けも含む、顔パーツのバランスを上方寄りにしたり、下方寄りにしたりできるように思われるかも知れないのですが、鼻の起点となる、鼻筋上部の位置だけは変更しようがない。
ですから、鼻を下方よりに置こうとする場合、鼻全体が長くなるような印象になってしまうわけですね。ここには明白な限界があります。
……………………
上記の3つほどが、初期段階でプレイヤー側に課せられている限界です。では一体、これらの規定に、作成したいイメージが抵触しているように見える場合、それらの限界をいかに回避すべきなのか。その方策、及びキャラメイク全体の指針については、次の項で述べます。
4 リアル描写の不可能性と、顔の相対位置の把握
直前の項までで示しましたように、極めてリアルに近付けた造形が可能なように見える本作のキャラメイクは、そこに課せられた幾つかの小さな制約によって(個人的には、髪型部分の、前髪と額の関係性の制約がかなり大きい)、予め約束された造形美としての、リアルな美人さんとはほど遠い構成になってしまう、ことがほとんどだと思われます。
これは実際にやってみればかなりの割合でご理解頂けると思うのですが、片や、顔造形を極端な精度で形作れるツールが有り、片や、世の中の誰しもが認めざるを得ない美しい個性のサンプルとしての画像があったとしても、その双方を破綻なく結びつけるのは、中々に難しい、どころか、ほぼ無理だということが、時間を掛ければかけるほど実感されて来るはずです。
その破綻の原因が、ただ単に「読み込み」と「書き込み」の精度の問題であれば話は早いのですが、多くの場合それらは、1つ前の項で示した、ツールそのものに内在する限界によって引き起こされる問題をはらんでいます。だから、プレイヤー側は、ただ単にイメージをなぞるだけでは駄目で、結局の所、ツールそのものが最大限の効力を発揮するように、「現実の」イメージを読み替えてやる必要がある。
もう少し具体的に云うと、プレイヤー側は、たとえどのようなサンプルを参照するとしても、それらのイメージ内の各パーツの大きさや、幅、高さのみを意識するのではなく、真っ先に認知すべき最重要項目として、各パーツ間の、相対位置を把握すべきだ、という視点が、上記、全体イメージの抽出の重要性から必然的に浮かび上がってきます。
つまり、たとえば目の大きさがどれくらいなのかを初めにイメージするべきなのではなく、眉、目、鼻、口、頬、顎、それぞれの距離感ですね。ここを始めに措定したほうが早い(という視点)。
何故この点を強調するかと云うと、結局の所、大きさ、というのは、さらに細分化されうる各項目上の、距離感、に還元される、と考えられるからです。そして、この、全ての大きさや高さ、幅という設定を距離感に還元する思考が前提とされた場合、この項の初めに述べた、ツールとしてのキャラメイクの限界を回避する、ことも、場合によっては可能であると考えられるからです。
5 造形細部の印象効果の解析と生成
以上、述べてきましたことは、あまりにややこしくもあるんですが、実際には、筆者自身が経験した数千回から数万回に及ぶ失敗経験に基づいています。
何らかのイメージをサンプルとする場合、目、とか、鼻、とか、項目そのものに注目すると大抵の場合駄目で、むしろ、それこそ初めに文章としてキャラクタの特徴を書き起こすくらいの感覚で、ざっくりと全体のバランスを把握すると、結構すんなりと上手くいくことがある。
ちょっと章が長くなりすぎたので、こちらの記事はもう少しで一旦閉めさせて頂きたいと存じますが(さらなる項目細部に対する言及は↓の記事を参照)、
いずれにしても確かなのは、十全に見えるAI少女のキャラメイクにも幾つかの限界があり、それらを突破するためには、単なる目視上、数値上のコピーと置き換え、ではなく、全体としてのイメージの読み替えが必要だ、ということですね。
一度なりとも、既にAI少女のキャラメイクを触ってみたことのある方には、なんとなく筆者が主張しようとしていることは理解頂けていると思うのですが、結局はコイカツのときと同様、プレイヤー側の習熟と方法論の確立は必須になります。そしてそのための無限の時間が、至福と苦難を同時に味わうことのできるキャラメイク空間を創出するわけです。
6 まとめ
かなり回りくどい言い方になりつつも何が言いたいかと云うと、要は、AI少女のキャラメイクの製作者、すごすぎる、Illusionさん、この神ツールを授けて下さってありがとうございます。という端的な結論に行き着きます。コイカツのときからすべてのユーザーが感じていることと思われますが、スライダーの仕組みやコピー機能など、ストレスなく使用できるUIは素晴らしいと思います。
あとは、あの優雅なBGMのもとで何ができるかはまさにプレイヤー次第、と言った所でしょうか。これから先、互換性のある別作品なども発売される予定があるようですし、そちらを楽しみにしつつ、当方もさらなる深みに達することのできるよう記事などを更新していければと思います。ではでは。
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